「KEIRINグランプリ2025」(12月30日、平塚競輪場)の出場選手が決まった。グランプリは85年にベストナインによる〝1年を締めくくる一発勝負〟として立川競輪場でスタート。89年が中止(賞金交渉問題)だったことで今年は〝40回目〟の大一番になる。
今年は初出場が4人。寺崎浩平(福井)、嘉永泰斗(熊本)、阿部拓真(宮城)の3人はGⅠタイトルホルダーとして大舞台に臨む。嘉永と阿部はGⅠ初決勝で〝一発ツモ〟の引きの強さを見せた。中でも直前の小倉競輪祭を6番車で優勝した阿部の〝勝負運〟は理屈抜きの魅力になる。
私の記憶に残るGⅠ(85年~)で6番車の優勝は89年3月の花月園ダービーの小川博美(福岡=引退)、91年3月の一宮ダービーの坂巻正巳(茨城=引退)、05年6月の大津びわこ高松宮杯の村本大輔(静岡=引退)の3人。車番は時代、競輪場、大会の特性で決まった。班別、初戦シード、実績、得点等で車番は決まるが6番車は9選手の中での総合評価は下になる。その評価を覆しての優勝劇は記録とともに記憶に残る。
長い競輪史の中で引退した選手を一言で紹介する記載は〝GP何勝、GⅠ何勝〟。より詳しく紹介する時にはグランプリに何回出場、通算取得賞金何億円などがあるが、勝負の世界である以上「GⅠを獲った」ことが記録に刻まれる。
競輪祭を優勝した年のグランプリ優勝者は92年の吉岡稔真(福岡=引退)、02~03年を連覇した山田裕仁(岐阜=引退)、08年の井上昌己(長崎)、13年の金子貴志(愛知)の4人(山田と井上の競輪祭優勝は1月開催)。ちなみに6番車のグランプリ優勝は03年の山田、15年の浅井康太(三重)の2人だが、車番は抽選で決定した大会だった。これからの1カ月間は「今年のグランプリは…」と話をするのが競輪ファンの楽しみになる。
◇中林 陵治(なかばやし・りょうじ)熊本県八代市出身の63歳。慶大卒。87年5月の花月園新人リーグ(59期生)で競輪記者デビュー以来、現場取材一筋38年。デビュー戦から見た選手で最強は神山雄一郎、最速は吉岡稔真。9車の勝負レースは5車の結束、番手捲り。


