25日決勝のいわき平記念競輪は脇本雄太(26=福井)の完全Vで幕を閉じた。人気と脚力断然の脇本の存在感もあって売り上げ、入場者ともに盛況だった。
いわき平競輪ならではの積み重ねた強みもあった。06年に〝空中バンク〟として新装した観戦空間。また最近10年間で5回のGⅠ(オールスター3回、日本選手権2回)を開催していることで地元ファンはトップスターの走りを〝ライブ観戦〟する楽しみを見い出している。
福島県選手の層の厚さも見逃せない。今大会に伏見俊昭、佐藤慎太郎、渡辺一成のビッグネームがなかったのが「タイトルホルダー王国」の福島県ならではだ。今大会決勝6着の成田和也でさえ地元記念は17年以来、9年ぶりの参加だった。他県ならGⅠタイトル、及び実績があれば地元記念にほぼ斡旋があるが福島県では狭き門。それだけに福島県選手は思いが強いし、結果も出している。
地元勢の中でも山崎芳仁(46)と長男・歩夢(20)の親子参戦が注目された。芳仁は10年9月のいわき平オールスターをはじめGⅠ優勝9回の実績を誇る。一方、歩夢は地元記念初挑戦。芳仁が全盛時に「地元記念はGⅠより緊張する」と常々口にした舞台に立った。
芳仁、歩夢ともに準決勝まで進み、史上初の〝親子決勝〟に望みをつないだが夢は持ち越しになった。最終日は8Rの歩夢、11Rの芳仁ともに1着で締めて地元ファンの大きな声援を浴びた。
歩夢は「自分のスタイルをしっかりつくって、次(地元記念)は決勝に乗って優勝したい」と振り返った。芳仁は「歩夢は俺に近づけるように努力するだけ」とエールを送った。山崎親子の走りがいわき平記念の楽しみの一つになった。
◇中林 陵治(なかばやし・りょうじ)熊本県八代市出身の63歳。慶大卒。87年5月の花月園新人リーグ(59期生)で競輪記者デビュー以来、現場取材一筋38年。デビュー戦から見た選手で最強は神山雄一郎、最速は吉岡稔真。いわき平競輪の取材は多く、駅から競輪場までの古い飲食店はよく知っている。


