〝3年で終わる。もって5年〟。そう言われたガールズケイリンは10周年を迎えた。それを記念し29日から平塚で「ALL GIRL’S 10th Anniversary」が開幕。10年前、選手はわずか33人だったが、今やガールズのみで12R制を行えるまでになった。ただ、だからこそ今開催が勝負だ。人生を懸けて道を拓いた1期生・中村由香里は「今開催がキーポイント。いつまでも男子におんぶに抱っこでは駄目。危機感を持って女子だけでやっていけると証明しないといけない」。
48年に産声をあげたガールズケイリンは一度64年に幕を閉じた。16年。形態は違うとはいえ、選手が700人まで増えてもそれで終わった。同じく創世記を支えた白井美早子は「安心しては駄目だと思う。次の10年に向けてやらないと」と決意に満ちた表情で語る。サステナブルなガールズケイリンを目指し、ここは通過点で分岐点。今後どうかじを切るか、今どのくらいガールズに力があるのかを計る重要な意義がある。
注目は「売り上げ」だ。初代ガールズGP覇者の小林莉子は「最初のころ売り上げをよく見ていた。今回も売り上げに貢献したい」とキッパリ。華やかさも売りではあるが、そこはギャンブル。車券が売れなければいけない。目標は3日間で10億円。普段のナイターFⅡでは1日2億円売れれば盛況といえる。それだけに、今回の目標は簡単ではない。選手は確実に最高のパフォーマンスをしてくれる。昨年のガールズGPを走った選手もそろい、ナショナルチームも参加。頂上決戦といってもいい。この最高レベルで結果を出せるか。目標達成となれば未来はさらに明るくなる。
JKAは27日の会見でガールズケイリンの新たな特別レースなど、さまざまな取り組みを検討しているとした。可能性は無限大。だからこそ10年後、20年後、100年後へ。今大会は何としても売り上げ10億円を達成したい。ガールズの力を見せる時。車券で現在の、そして未来のガールズケイリンを応援しよう。
◇渡辺 雄人(わたなべ・ゆうと)1995年(平7)6月10日生まれ、東京都出身の27歳。法大卒。18年4月入社、20年1月からレース部・競輪担当。今年からは中央競馬との二刀流に挑戦。愛犬の名前は「ジャン」。