
今年最初のGⅠ全日本選抜競輪は脇本雄太の優勝で終わった。全GⅠにグランプリ制覇の〝グランプリスラム〟を達成し、一番乗りで今年のグランプリ出場を決めた。シリーズで印象的だったのは近畿勢の圧倒的な強さだ。準決勝に12選手、決勝戦には6選手が勝ち進んだ。寺崎浩平が決勝2着になったのは大きく、準決勝で中釜章成、福永大智の新鋭勢がGⅠの準決勝を経験したのも今後につながる。これからのビッグレースは南関勢を筆頭に、他地区がどこまで近畿勢を封じることができるかが最大のポイントになる。
ビッグレースでのトップクラスの対決が盛り上がるのは当然として、2月27日からの岸和田FⅡ戦ではベテラン選手の活躍で、違った競輪の面白さを感じさせた。チャレンジを走ることになった大竹慎吾=写真=が今期初めて決勝進出を決めたのだ。
準決勝は予選に続き中西勇マークから、最終2センターでは捲って来た本命選手にけん制をして、最近にない動きの良さだった。「来る前にセッティングを2カ所いじって踏み出しでぐっと来て軽かったです」と笑顔を見せた。
59歳になり4月で競輪選手になって40年。全盛期は九州を代表する選手として迫力あふれる捲りを武器にビッグレースで活躍した。「14歳から自転車に乗っているのでずっと体が浮いている感じ。昔は大ギアで走っていたので体にダメージは残りました。今の新人は養成所のトレーニング内容が変わってみんなが強い。あと20年若かったらもっといろいろできたと思います」と振り返る。努力を欠かさず少しでも新人選手に食らいつく。チャレンジにもドラマは詰まっている。