ニュース&記者コラム

【記者コラム】伏見俊昭選手よ、永遠に―

 あまりに急な話題だった。「あのー、今週のジャンプって読みましたか」。まだ駆け出しだった記者は度肝を抜かれた。競輪界の大スターも週刊少年マンガを読むのか…。共通の話題で盛り上がりたくて、若い記者なら読んでいると思ったのだろう。この時から伏見俊昭選手が身近に感じられた。

 〝友情・努力・勝利〟。週刊少年ジャンプのモットーとされている。伏見さんもこの3大要素が詰まった主人公だった。佐藤慎太郎、山崎芳仁、成田和也らと競輪においての友情とも言える福島ラインを組んでタイトルを奪取。また、自転車競技者としても日の丸を背負い、誰よりも努力をしアテネ五輪で銀メダルを獲得した。

 何より勝利に飢えていた。新田祐大が「常に結果を求めていた人」と表現。全盛期こそ取材していないが、40代後半となっても負けたレース後は、ぶぜんとし近寄りがたかった。反対に大好きな勝利をつかめばニッコリ。今年の5月にはダービーで3番手から突き抜けて1着。「GⅠも出られるかの瀬戸際。かみしめながら走っているのが良かったのかな」と言いながら笑っていた。

 昨年9月、07年にグランプリを制した立川で通算600勝を達成。これを優勝で決めるのだから、さすがの主人公っぷりだった。次は700勝ですねと言うと「そうだね、頑張るよ」と当然まだまだ勝利を積み重ねる予定で、来月には初タイトルでもあるオールスターが控えていた。信じられない、信じたくない。今はただ伏見さん、お疲れさまでした、ありがとうございましたと伝えたい。ゆっくりジャンプを読んでください。ご冥福をお祈りします。

 ◇渡辺 雄人(わたなべ・ゆうと)1995年(平7)6月10日生まれ、東京都出身の31歳。法大卒。18年4月入社、20年1月からレース部・競輪担当。22年は中央競馬との二刀流に挑戦。23年から再び競輪一本に。愛犬の名前は「ジャン」。競輪好きの両親には子供の時から「伏見は強くてプリンスだ」と教育を受けた。母は昔から「伏見君、まだ独身かな」と何か、かなわぬことを企んでいた…。

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