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【記者コラム】選手もファンもアップデートが必要

「現代競輪って何があるか分からないね」。西武園記念で佐藤慎太郎(48=福島・78期)が新山響平(31=青森・107期)と連係した二次予選(8月29日)のレース後につぶやいた。新山の代名詞である突っ張り先行を何とか阻止しようとする別線の動きに首をかしげながら、気を引き締めていた。

 その動きは赤板前。ライン構成は4分戦で、新山の突っ張り先行を警戒した後ろ攻めのラインが早めに上昇。新山がそれを合わせるためにバンクの中腹に上がりながら間合いを取ると、中団にいたラインが相次いで内を突いた。「俺が遅れてるのかな?記者さんたち見たことある?」と佐藤が逆質問してきたように新たな戦法。新山は何とか突っ張ることができたが、このように赤板で内を突けば、インで粘ることや、そのまま不意を突いて主導権を奪える可能性がある。簡単に突っ張り先行をやらせない新たな作戦になり得る。

 もちろん、超一流も黙っていない。新山は「ルールの範囲内ですからね、仕方ない。自分が対策をしていくだけ」と慌てず騒がず。佐藤も「アップデートしていくしかない。そうじゃないと置いていかれちゃうからね」と対応を約束した。ちなみに新山は今年ここまで58走して14勝。そのうち、前受けから誰も出させず逃げ切ったのは3回。グレードだけ走っていて3回あるのも凄いが、一時期を考えれば物足りなく感じる。突っ張るためのダッシュを向上させるのか、それとも突っ張りを〝エサ〟にした作戦をとるのか。S班がどのように進化するのかも見どころになる。

 無論こちら側、ファンもアップデートしていかないといけない。スピード全盛だからこそ、選手は新たな作戦、戦法で一角を崩す。今回の西武園だけではなく、今後はさまざまな新戦法が出てくるはずだ。車券を買う側もアップデートをしていかないと痛い目を見るかも…と感じさせられた。

 ◇渡辺 雄人(わたなべ・ゆうと)1995年(平7)6月10日生まれ、東京都出身の30歳。法大卒。18年4月入社、20年1月からレース部・競輪担当。22年は中央競馬との二刀流に挑戦。23年から再び競輪一本に。愛犬の名前は「ジャン」。

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