総工費53億円かけリニューアル!!魅力紹介

 ファンが、選手が、競輪界が長らく待ち望んだ〝その時〟がいよいよ迫ってきた。16年4月14、16日の熊本地震で甚大な被害を受け、16年3月の開催を最後に本場開催がストップしていた熊本競輪場。総工費約53億円をかけてリニューアルし、今月15日からメインスタンドの場外発売でプレオープン。来月20日からは約8年4カ月ぶりとなる本場開催が始まる。入場料が無料となるのを筆頭に、関係者の〝愛される競輪場〟づくりへのアイディアは盛りだくさん。このほどお披露目された「Re:スタート(リスタート)」する熊本競輪場をお届けしよう。

■1周400メートルに

 最大の特徴は生まれ変わったバンクだ。周長がこれまでの1周500メートルから400㍍に変わり、〝滑走路〟と呼ばれ日本一長かった69.5㍍の見なし直線は60.3メートルに変更された。今月4日には実戦形式の模擬レースが実施され、走ったほとんどの選手が「コーナー部分にクセがある」と話した。また、バンクにはナイター開催、ミッドナイト開催を見据えての照明器が14本設置され、メインスタンド部分にも照明器がつけられた。

■機能を集約

 以前はメインスタンド、サイドスタンド、バックスタンドの3構成だったが、メインスタンドのみに機能を集約。改築されたメインスタンドは今年5月に完成し、3階は冷暖房完備の有料エリアが新設された。106席の特別観覧席に加え、2席ある車いす席、11席のロイヤルシート、最大5名までが利用可能なロイヤルボックス、たたみ席で靴を脱いでくつろぎながら観戦できるグループ席(最大3名まで)も2席ある。寝っ転がりながらでも迫力満点のレースを観戦することができる。

◇熊本競輪場3階 有料席 料金表(円)◇
特別観覧席106席1000(場外500)
グループ席(1席3人まで)2席1000(場外500)
ロイヤルシード11席3000
ロイヤルボックス(1室5人まで)2室1室12000

入場料無料

 本場開催が行われていた16年3月までは50円だった入場料が無料になり、場内ではキャッシュレス投票も導入される。それだけではない。映えスポットや場内での夏祭り、来年度に完成予定の子どもプールの構想もある。競輪ファンだけでなく競輪を買わない層の集客にも力を入れていく構えだ。今月8日に行われた内覧会では大西一史熊本市長が〝災害時の命を守る拠点〟としての側面にも言及。備蓄倉庫の設置に加えて車中泊も可能な駐車場エリア作成も進めている。これらすべてが完成して、25年度に晴れてグランドオープンとなる。

70日間の開催

 本場開催は来月20日のFⅠ開催「能登半島支援 熊本競輪再建記念」で再開され、10月3日からはGⅢ熊本競輪開設74周年記念「火の国杯争奪戦」が行われる。今年度は70日間の開催が予定されている。再来年2月には熊本競輪で14年ぶりのGⅠ開催(全日本選抜競輪)も決まっている。8年4カ月も時が止まっていた熊本バンクに、もうすぐ競輪選手たちによる熱戦が戻ってくる。(本間 正則)

熊本市経済観光局
西氏「誰からも愛される競輪場を目指す」

 熊本市経済観光局、スポーツ・イベント部競輪事務所の西真一郎所長は「まずはファンの皆さん、選手の皆さんにお待たせしてしまって申し訳ない」と話し、「いろいろなご支援をいただいて本当に感謝しています。入場料も無料になり、今後は場内に映えスポットなどもつくっていく予定です。競輪ファンはもちろん、それ以外の方々もいろいろな人でにぎわってほしい。誰からも愛される競輪場を目指していきたい」と熱弁した。再開を待ちわびたファンを迎える準備は整っている。