日本名輪会カップ「第21回井上茂徳杯」(FⅠ)が4日から6日までの3日間で開催される。参加メンバーはGⅠ常連の猛者たちが集まる豪華版だ。地元エースの山田英明がV戦線をリードするが、別線にも全国区の実力を兼ね備える木暮安由、香川雄介、中村浩士、稲垣裕之らに加え、まくりのスペシャリスト山中秀将や積極性が光る新山響平らが控える見逃せないシリーズだ。
 

山田英 ハッスル!!


 今年の「井上茂徳杯」にも好メンバーが集まった。ここ3年の覇者を見てみよう。山田庸平(18回)→野原雅也(19回)、そして昨年の20回大会は阿部拓真が優勝をかっさらった。山田と野原は強力な外国人選手を撃破し、阿部拓真は松岡貴久、横山尚則ら強豪を破り、いずれも高額配当(3連単)を提供している。
 
 今年はどうか。いかにも波乱含みだ。何しろ各地区にGⅠの優勝をも狙える実力派がそろった。それでも譲れない〝地元の庭〟で山田英明がハッスルする。一昨年、歓喜の地元記念初Vを達成した山田は今やGⅠ舞台に欠かせない輪界の顔にもなった。
 
 直前の全プロ記念(松山)は❶❻。翌日の全プロ競技(全日本プロ選手権自転車競技大会)でケイリン種目にエントリーした山田は堂々優勝。寬仁親王牌(10月・グリーンドーム前橋)初日に行われる理事長杯のシード権を手にした。得意のまくりで、一昨年の地元記念Vにひと役買った松川高大の存在も頼もしい。地元ファンの声援に山田が応えてくれるとみた。
 

中村浩 肉薄する


 差し脚切れる香川雄介と中村浩士が肉薄する。とくに山中秀将のスピードをもらえる中村に食指が動く。内藤秀久、武田憲祐らスタッフ豊富な南関勢が侮れない。香川は中四国の機動力型が手薄なだけに苦戦ムード。むしろ逆転筆頭は木暮安由。2班ながら果敢な金子哲大との連係が実現すれば大チャンスだ。タイトルホルダーの稲垣裕之が底力を見せる。中野彰人、前田拓也らが稲垣を盛り上げそうだ。新山響平がパワー勝負で挑む。ライン的には劣勢でも当地は過去4回出走。走り慣れたバンクで自慢の先行力を披露する。
 

●追い込み届くバンク●
武雄バンクの一番の特徴は直線の長さにある。そのみなし距離は64・4㍍と国内の400走路では最長だ。そのため、先行はよほど展開に恵まれない限り、持たない。番手有利に違いないが、力のある追い込み型は3、4番手からでも十分に届く。最大カントは31度を越えコーナーの出口で流れることもなく、まくりが決まっている印象だ。それも3角までハナに立つ早めの仕掛けが有効。直線の伸びは内、中、外と平均的。