<A級1、2班戦展望>
 今節は9レース制開催でA級1、2班戦5レースとチャレンジ戦4レース。1、2班戦の注目は111期若手先行型の3選手、伊藤稔真(三重)、格清洋介(静岡)、今岡徹二(広島)の力勝負。近況成績で一歩リードするのは伊藤だ。12月以降の4場所で優勝3回。先行基本の積極的な走りでパワーを発揮。ここも同期ほか同型を果敢な仕掛けで退けるか。中部同士の追い込み型で実力上位の谷田泰平(岐阜・93期)が番手を回って直線勝負。1月にS級から下がり、2場所目の奈良FⅡで決勝2着。即席でラインを組んだ小林泰正(群馬・113期)の強烈まくりに食らい付いてのワンツー。ここは初連係となりそうな伊藤の仕掛けにしっかり続いてゴール前勝負。差し切っての逆転を目指す。

 

 

 

 格清も伊藤と同様、組み立ては先行が基本。ホームバンクでの今年初戦、前走伊東FⅡで昨年10月別府FⅠ以来、1、2班戦で2度目となるV。勢いは伊藤に負けていない。昨年の最終出走だった岸和田FⅠでは決勝で伊藤と対戦も、勝負どころを前にして落車に巻き込まれる不運。ここで仕切り直し。伊藤との先行バトルに気持ちを強くして挑む。S級でも通用する差し脚を備えるベテラン・望月裕一郎(静岡・65期)が同県で格清の番手回り。今期は前々期の失格(1回)の影響もありS級1班からA級へ。格清とは降級初戦の岸和田FⅠで準決、決勝と連係。準決では打鐘先行の格清とワンツー。しかし、決勝は格清とともに無念の転倒。その時の悔しさを、ここでしっかりと晴らしたいところ。前走の地元 戦、静岡FⅡでも❶②❷と好走しており、展開が向けばVチャンスは十分とみていい。

 

 今岡は1、2班戦で優勝こそまだないが直近2場所は連続決勝2着。前走小田原FⅠ決勝は最終1角で前を叩き、後ろ回りから差し切った同県先輩の市本隆司(広島・72期)とワンツー。ここは地元戦に意気込む近藤昌範(岡山・82期)と中国で連係し、前で積極策か。伊藤、格清に劣らない力強さで存在感をアピールしたい。近藤は1月にS級から下がって3場所連続で決勝進出を逃しているが、2年ぶりに走るホームバンクでのレースに気合は十分か。今岡という好目標があることも追い風。前で仕掛ける地区の後輩を信頼して直線勝負に懸ける。 

 

 北日本の主力は自在性ある三浦雄大(宮城・98期)とタテ脚の鋭さが武器の森田康嗣(北海道・89期)。三浦は12月以降の4場所で連続決勝進出。うち2着と3着が1回ずつ。前走別府FⅠでは前を任せた金野俊秋(岩手・92期)が打鐘先行。番手回りから抜け出して優勝を決めた。ここは森田の前で動く組み立てか。前々強気に攻めて浮上も。森田も自力で戦えるが、三浦32歳、自身37歳の年齢を考慮すれば三浦と連係なら後ろ回りとみるのが自然。A級に下がった今期は3場所を走って優勝はまだないが、初戦の岐阜FⅠで決勝2着。この時は金子兼久(宮城・81期)とライン2車の前回り。先手ラインの3番手キープから3角で外を踏むも、番手から抜け出した選手を捉え切れずの結果だった 。鋭いダッシュを生かし、流れに乗って伸びれば一気に突き抜けるシーンも。

 

 

<チャレンジ戦展望>
 中心は抜群の先行力を誇る南関地区期待の新鋭・吉元大生(静岡・113期)。競輪学校を在校4位の成績で卒業し、昨年7月デビューから今までに走った11場所の全てで決勝進出。うち優勝3回、決勝2着4回と高いレベルで安定した数字を残す。1月下旬に出走を予定していた松戸ミッドナイトを欠場し、その前の別府ナイターから今回前検日までは中21日。体調面、レース勘がどうか。やや心配は残るが、本来の実力を発揮すれば逃げ切ってのVは十分。果敢に仕掛けて強さを見せつけたい。南関で吉元との連係が考えられるのが底力ある黒川将俊(千葉・92期)。基本は得意のまくりを主体にした自力勝負だが、吉元の番手を回れれば迷わずに前を任せての勝負。離れずに食らい付きG前勝負に持ち込みたい。

 

 

 ポテンシャルで吉元に負けていないのが井上嵩(愛知・97期)。97期在校1位で卒記チャンプ。今期は3班に下がったが、10年にデビューして3年後にはS級1班まで昇格。かつては注目度の高い選手の1人だった。1月に走った2場所は松戸①③❸着に続き、前走久留米では完全V。基本は自力勝負。ただ、久留米の決勝は今回も同時出場の鮫島康治(大阪・111期)と中部近畿で連係。番手を回っての勝利だった。経験の差も武器に、流れに応じた走りで勝負に出る。

 

 鮫島はプロボクサー(元東洋太平洋ライト級2位)から転向し、17年7月にオールドルーキーとして35歳でデビュー。その4カ月後に落車負傷してリズムに乗れずにいたが、前期から成績が安定。玉野には期の初戦だった7月ミッドナイトと9月ナイターに出場し、7月ミッドナイトでV、9月ナイターでも①②❸着と好走している。前走の久留米ナイターでは予選、準決を1着でクリア。決勝は井上の前で先手ラインの3番手をキープして最終バックまくり。結果は3着だが、この動きに乗って直線伸びた井上が優勝をゲット。レースの組み立ては悪くなかった。今年初Vへ、しっかり仕掛けて力を出し切る。

 

 地元戦に気合を込めるのが川本琢也(岡山・100期)。前走松戸ミッドナイト①⑤③着は3日間とも果敢な走りで主導権を奪取。決勝進出は逃したがレースで見せた積極的な姿勢は次走のここにつながる好内容だったと言っていい。当地での前走は昨年9月FⅡ(1、2班戦)で、その時は予選で逃げて3着に残り準決へ。チャレンジ戦では優勝を強く意識。好機に仕掛けて結果を出したい。

 

 中山敬太郎(熊本・100期)も機動力があり要注意。前走伊東ナイター準決では力のある新人の先行型・樋口開土(東京・113期)の逃げを最終ホームからの仕掛けて一気に捉えて快勝。流れに乗って仕掛ければここも好勝負が期待できる。東隆之(宮崎・100期)は中山と九州同士で同期、同じ自力タイプ。年齢は中山より2歳上。成績はやや見劣りするが3場所前の広島では予選1着、準決2着で決勝に進んだ。中山と連係できればチャンスも。穴候補の1人として気に留めておきたい。

 

<玉野バンク、ミッドナイトでの注目選手〉>
A級1、2班戦=鈴木孝征(埼玉・75期)
 前期は9車立ての開催で決勝進出がなかったが、2回出場したミッドナイト競輪では9月青森、12月前橋といずれもファイナルへ。玉野は昨年1月ミッドナイト以来の出走で、その時は予選、最終日と2勝を挙げている。関東の自力型が手薄なのは気になるが、いざとなれば鋭いタテ脚を生かして自力で仕掛けることも可能。直線での突き抜けに注。

 

 

チャレンジ戦=黒川将俊(千葉・92期)
 玉野でチャレンジ戦を走るのは今節が初。A級1、2班戦は14年8月までに4場所に出場し、うち3場所は3日間のどこかで1着をゲット。昨年12月松戸ナイターチャレンジ戦では予選、準決と1着で決勝へ。準決は前を任せた同県の米倉剛志が不発とみるや最終バック5番手から自らまくって勝利し、底力を示した。ツボにはまった時に見せる強さは見逃せない。