A級1・2班戦展望

 今シリーズの本線は九州勢。期待の1車はもちろん、梅崎隆介(32=長崎121期)だ。選手になる前は、医療機器メーカーに就職し、トライアスロンの経験もあり、一念発起して輪界入りした遅咲きのルーキーだ。その分、同期の選手よりも、気持ちの強さがあり、早くS級に上がるぞ、という気迫が感じられる。

 前回小倉が初の1、2班戦で成績は1①❷。初日予選は最終HSから一気に駆けて完勝。ただ本人は「1、2班はチャレンジと違って、展開が速いですね」と戸惑っていたが数を走っていけば当然、慣れてくる資質を秘めている。準決も1、2班で優勝歴がある地元名川豊を引き連れ、捲りで1着。着差は僅かであったがマークした名川が「強いですね」と言うほど。

 決勝は九州別線の戦いとなったが本命の原田亮太を叩き切り、別線となった利根正明―松岡孝高に先制されたが、松岡の後ろに切り替え、迫ったものの準V。1、2班の初戦としては上々のスタートだ。今回は1、2班の2戦目で慣れも見込め、戦い方も分かってきたはず。予選スタートしたが堂々のV候補だ。

 梅崎マークは同県の西田将士(32=長崎105期)か。ただ2カ月ぶりの実戦なので、そのあたりが気になる。

 安定感では長年S級で戦っていた加倉正義(51=福岡68期)。直前の松山が❺②❸。近況、踏み出しに少し不安があるものの、きっちり番手を守った際には、頼りになるカード役になる。展開次第では好勝負を演じてくる。

 あと近況、好調な米原大輔(42=沖縄86期)の伸びにも注目を。

 対する関東勢は土屋―稲村に期待がかかる。土屋壮登(35=埼玉101期)は直前の西武園決勝で地元結束の番手を回り、発進した尾崎悠生のハコから早めに抜け出し、優勝と弾みが付いた。前期S級でも果敢な走りを見せて、格上相手でも高配当を呼んでいた。今回は本来の自力中心に経験値を生かし、決勝戦には乗ってくるであろう。

 マークは稲村成浩(51=群馬69期)。なんと約31年ぶりのA級戦となる。主な戦歴は2001年松戸ダービー覇者。ふるさとダービーも2V。競輪界に歴史を残している名レーサーである。ただ年齢的なものか、近況は前期S級でも厳しい戦いになっていた。以前ような切れのあるスピードは…。それでもA級戦ならば格の違いで凌ぐか。ただ初めのうちはA級のペースに戸惑うかもしれないので動きには注視したい。

 南関勢は小野裕次(34=千葉95期)が軸。年頭の小田原初日特選では逃げて粘り強いS下がり中村隆の先行を捲り先勝。脚をタメて回ってきた時のスピードはS級でも通用したほど。今回は確かな目標不在の戦いとなるので自在に攻めて上位争いに加わってくるか。

 援軍は植木和広(43=神奈川98期)が約4カ月ぶりのレースでどうか。遠藤勝行(48=神奈川73期)も近況、今ひとつで、やや不安な部分がある。

 北日本勢からは宇佐見裕輝(37=福島94期)。直前の地元いわき平では2②❷。決勝は北日本の3番手を追走し、道中は5番手。それでも直線で中を割って準V。混戦になった時の決め脚には注目してほしい。