KEIRINグランプリ2022の圧勝劇で1年を締めくくり、和歌山記念での4連勝Vで23年の船出を祝った。GPチャンピオン〝脇本イヤー〟はまだ始まったばかりだ。
競輪祭5日目から目下7連勝中。圧倒的な強さを誇る脇本にしてみれば当然?いや、レース後の消耗しきった彼の姿を見れば、それが当然ではないことが分かるだろう。〝最強〟と対峙(たいじ)する相手は、持てる力の100%以上のモノを出して挑んでくる。脇本は毎回それと戦っているのだ。むしろ命を削って走っていると思った方が自然である。
和歌山記念決勝は最近の中では一番ハードな戦いだったに違いない。東京五輪のチームメートであり永遠のライバル・新田祐大との2分戦。世界規格の2人が演じた打鐘前からの壮絶なモガキ合いにファンは熱狂。そして、グランプリに続いて脇本が勝った。
勝負を左右したのは脚力だけではない。脇本の後ろには信頼できる盟友・古性がいた。最終的にインで粘った新田に、トドメをさしたのは外並走で意地を見せた古性である。
脇本の背中を追い、離れ、脚力差を痛感しながらも、不屈の闘志で何度も立ち上がり、食らいつき、いまや脇本にとっては代えが利かない女房役。その古性がいる限り、脇本が、近畿軍団が最強なのである。
脇本の記念初優勝は10年8月に行われた61周年記念ちぎり賞。決まり手は「差し」。深谷知広にはレースで勝って勝負に負けた…。もう12年以上も前のことだが、脇本にとってはいろんな意味で忘れられないメモリアルレースである。競輪界のトップに立ったいまだからこそ、初心は絶対に忘れてはいけない。以心伝心、昨年のGP覇者・古性も同じことを思っていたはずだ。新しい近畿の象徴として、今年もワンツー決着を連発していくことだろう