昨年は2月のGⅠ全日本選抜→3月のGⅡウィナーズカップで連続優参するなど出だし好調だったが、その後はリズムに乗りきれずに準決勝で涙をのむパターンがほとんどだった。
直面しているのが中部地区の選手層の薄さだ。以前は怪物・深谷知広と切磋琢磨(せっさたくま)していただけで自然と中部勢を、さらには競輪界をリードしてきたが、深谷が静岡に移籍してからは孤軍奮闘の流れ。FⅠやGⅢなら個人の力だけで何とでもなるが、ビッグ戦線でのライン線では明らかに苦しい立場。そこにはタイトル量産に沸いた中部王国の姿はなく、いつの間にか少数劣勢派に成り代わっていた。
それでも希望の光は少しずつ見え始めている。山口拳矢や橋本優己、志田龍星ら岐阜の若手たちが頭角を現してきたことだ。ジェネレーションギャップにより意思疎通がうまくいかないこともあるだろう。それは時代が確実に流れている証拠。互いのたけている部分を見つけ、尊敬し合えるようになれば、きっと新しい道が開けてくるだろう。
実際、近畿勢はその転換期をうまく乗り越えた。中部勢がそれに続くには、やはり浅井が中心となってまとめていくしかない。非常に難しいことだが、それがGP2V、GⅠ3Vを経験した者の務めである
言葉で伝わらない部分は体現で示す。そして5年ぶりの夢舞台へ…。38歳にしてなお進化を止めず、ビッグ最前線でモガき続ける男の2023年は、まだ始まったばかりである。