1、2班戦展望
藤田昌宏
今節は混戦気配が漂うが、近況の走りの安定ぶりから藤田昌宏(50=岡山)を主役に推したい。今年はここまで14場所を戦って決勝を逃したのは1度だけ。3月防府決勝では鋭く捲って今年初Vを飾り、直前の富山決勝は若い桜木雄太の捲りを好追し準Vと元気いっぱいだ。わずかでもチャンスがあれば自ら動いてトップを狙う勝負根性はいささかも衰えていない。
今節は国村洋(48=山口)、吉永好宏(50=広島)ら中国のベテラン勢と強力ラインを形成し、V争いをリードするに違いない。
藤田の活躍の原動力になっているのが弟子・太田海也の存在だ。いまや競輪界を代表する選手の1人となった愛弟子のトップクラスでの活躍ぶりはもちろんのこと、練習に取り組む真摯な姿勢や日頃の真面目な生活態度、礼儀正しい立ち居振る舞いなどすべてに刺激を受けている。
藤田にとって太田との出会いは自分を見直す大きなきっかけとなり、S級で太田と師弟連係を実現させたいという強い思いがここまでの好結果につながった。来期は1年ぶりのS級返り咲きが決まり、パワフルな50歳のモチベーションはさらに高まっているはずだ。
九州勢では地元の飯田裕次(39=福岡)に期待。ここ2場所連続で準優勝と波に乗っている。今節は小柳智徳(27=長崎)、半田誠(21=熊本)、高橋綜一郎(28=大分)と九州勢は機動力型が多数参戦し目標にも事欠かない。走り慣れた小倉バンクで地の利も期待できる。
小柳は2月久留米、4月玉野で優勝を飾り、直前の青森は決勝2着と脚の状態は悪くない。ここぞというときのダッシュは強力で、仕掛けが決まったときの一撃は強烈。藤田には3走前の福井初日にあっさりと捲られ2着に敗れた。ここはリベンジを狙ってくる。
半田はここ3走連続で決勝を逃すなど調子はいまいちだが、総合的な先行力は今節のメンバーの中ではナンバーワンといっていい。
高橋は直前の玉野こそ振るわなかったが、その前は2走連続で決勝に進み2走前の地元では決勝2着と好戦した。気持ちで走るタイプで、若い小柳、半田の存在がいい刺激剤になりそう。山口龍也(30=長崎)も鋭いタテ脚を生かした追い込み戦法で上位争いに絡んできそうだ。
中部勢は内藤久文(33=愛知)と宮越孝治(46=富山)。
内藤は積極的な仕掛けと力強い走りには定評がある。宮越は前期S級の実力者。2人は直前の福井決勝でも連係しており、気心は知れている。展開次第ではVが狙える。