菅田が再び笑う


 苦境を力に変えて結果を出した菅田壱道が今期2度目のGⅢ優勝に挑む。悪夢は2月GⅠ取手全日本選抜の最終日。意図せずして罰則の重い誘導員早期追い抜きを犯してしまい、斡旋停止4カ月のペナルティーを受けることに。辛い事態に陥ったが腐ることなくひたすら努力を重ねた結果、復帰戦でミラクルが起きた。

 舞台はグレードレースGⅢの福井記念で、主役は地元Vを目指す輪界実力No.1の脇本雄太。さらに昨年のグランプリ覇者で今年のGⅠを2つ獲っている古性優作と近畿の二枚看板がそろい踏み。難敵S班の松浦悠士もいた。

 菅田は一予、二予を2着、1着でクリア。すると何と、翌日の準決が大雨による浸水で3レースとも中止に。決勝メンバー9人を決める運命の抽選。神様は脇本と松浦にほほ笑まず〝3強〟では古性だけが決勝へ。一方、菅田は自身だけでなく、北日本同士で目標となる坂本周作、後ろでラインを固める佐々木雄一と3人でファイナルに進んだ。

 決勝のライン構成は北日本3車と古性には南修二で近畿2車、南関が松井宏佑に鈴木裕で2車、森田優弥(埼玉)と松岡辰泰(熊本)が単騎。レースは注文通りに坂本が赤板から出て先行。4番手に入った古性が最終2角から捲ると菅田も前に踏み、外を迫る古性を振り切ってVゴール。菅田は右手を突き上げてガッツポーズ。喜びを爆発させた。ブランク明けだった菅田にとって北でラインを組み、仲間に助けられてつかんだ勝利がどれほどうれしかったことか。今シリーズも北日本の仲間が多い。その中で、しっかりと役割を果たした上で結果を求める。

 先頭で仕掛けるのは嵯峨昇喜郞か。数年前に落車が続いて大きなダメージを受けたが、その影響が減って復調気配。坂本貴史や新山将史も上り調子。戦歴上位の佐藤友和、自力で着実にパワーアップしている酒井雄多も決勝入りがありそう。

 松川高大は優勝こそないが成績は安定。動くことも可能だが、ここは後輩の松本秀之介と熊本同士での連係が望めそう。南関の2人は共に前場所FⅠでVの近藤隆司と福田知也。機動力ある近藤が前で仕掛け、差し脚切れる福田が続いてワンツー狙い。関東は朝倉智仁と芦沢大輔の茨城コンビ。芦沢は昨年8月当地FⅠでV。それ以来の函館出場。好目標あるここも流れが向けばチャンスは逃さない。