柳原真緒 初部隊へノリ乗り


 昨年7月の奈良でデビューして、ちょうど1年。114期の卒業クイーンとして注目を集めるも、最初は「練習でできたことがレースでできなかったり、思い通りに行かなかった」と理想と現実のギャップに苦しみ、10月には師匠と仰ぐ市田佳寿浩氏(43)の引退に直面するなど、苦しい時期を過ごした。
 
 そんな柳原に光明が差したのは11月の広島だった。山原さくら、鈴木美教ら「自分より点数を持っている」一線級の選手を撃破して念願の初優勝。「あれで〝やれる〟って手応えを感じました」と振り返るように以降はVを量産し「メチャクチャ濃いですね」という顔ぶれのガールズケイリンフェスティバル出場にこぎ着けた。
 
 初の大ステージに挑む彼女と自転車を最初に結びつけたのは、陸上の投てき競技に励んでいた敦賀高2年の冬。市田氏の個人トレーナーから「体格的に小さいから」と勧められた。そして翌年の国体直前にヒジを壊したことが決定打となり、進路変更を決断した。
 
 17年5月、日本競輪学校(現日本競輪選手養成所)に入学すると「校長先生(滝沢正光氏)に練習を見てもらってました。多い時は週4くらい」というほどの熱血指導で鍛えられ、翌年3月の卒業記念優勝で最高の恩返しを果たした。
 
 進化を続ける22歳は「トップスピードを上げることや、落ち着いてレースを見られるように」などなど、今後に向けての課題を自覚している。そこは日々の練習や「レースが終わるとすぐ電話して、レースを見ながら指導してもらってます」という市田氏のありがたい助言を得ながら、一歩一歩前進している。
 
 舞台の別府は5月28~30日、今回と同じ設定のナイター開催に参戦し11❷。「直前に走れて良かったです」と好感触を得て再び臨めるのは大きく「自力を出し切って、見てて面白い魅力あるレースをしたいです」と意気込みを語った。
 
 来年は地元・福井でGⅡウィナーズカップ開催が決定(3月26~29日)。例年通りなら開催中にガールズコレクションが行われる。最高のモチベーションを得た柳原には、別府八湯に負けないくらいのアツい走りで夏の夜のバンクを盛り上げてほしい。
 

ハマりやすい性格なんです
趣味は「ギター」「魚さばき」

○…「一つ決めたらそれ以外は見えないんです」と自己分析する柳原は、趣味も筋金入りだ。アニメ映画『君の名は。』主題歌『前前前世』で知られるロックバンドRADWIMPSが11年に発表した『君と羊と青』をキッカケで中2の頃からギターに興味を持ち、アコースティックとエレキを1本ずつ所有するほどだ。また最近は「魚をさばくことにもハマってるんですよ。ブリとか大きいのは、さばきごたえがありますよね」と、新たな楽しみを見いだしている。
 
♡柳原 真緒(やなぎはら・まお)1997年(平9)5月18日、福井県福井市生まれの22歳。座右の銘は「Nopain,nogain」(「痛みなくして収穫なし」。敦賀高時代は陸上部顧問に言われた「苦しい方を選べ」)。同期に佐藤水菜、野本怜奈、日野未来ら。ニックネームは「ちゃんまお」。身長1㍍64、血液型A。