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【記者コラム】ドラマたっぷり奈良記念4日間

 2日から5日まで開催された奈良競輪開設72周年記念「春日賞争覇戦(GⅢ)」は、まさに激闘の4日間のシリーズだった。初日特選は王者・脇本雄太の強烈なカマシを古性優作が逆転。SS最強コンビで決まったが、脇本は急性腰痛症のため2日目以降欠場となるアクシデントがあった。2日目の二次予選では平原康多が落車し、最終レースでは古性が失格の憂き目。5人いたS班の3人が早くも姿を消した。

 その中で存在感を示したのが新田祐大、佐藤慎太郎の福島SSコンビだ。特に新田の準決の走りは次元の違う強さだった。打鐘3コーナーで嘉永泰斗に振られて大きくバランスを崩し、あわやフェンスに激突?そんな絶体絶命のピンチから驚異の脚を披露。ホーム9番手から加速するや、逃げる中井俊亮―山田久徳の近畿勢を強烈にのみ込んで勝利を飾った。

 その強さを見せられては仕方ない。新田は決勝戦の1番人気。しかし、4車でスクラムを組んだ近畿勢の絆の強さが新田を上回った。正攻法で構える阿部拓真―新田―佐藤慎を赤板前から中西大以下の近畿勢が強引に叩く。ホーム前からは番手の山田久徳が発進。これに新田が襲いかかったが、近畿3番手の三谷竜生が新田をブロックしながら三段駆けを敢行。そのままの勢いでVゴールに飛び込んだ。5年ぶり2回目の地元記念優勝。ガッツポーズも飛び出した。

 「ワッキー(脇本)、古性がいない中で、近畿4人が上がれて優勝ができた。(2人がいなくても)近畿でしっかり戦っていけることが証明できた」

 近畿の結束力で勝ち獲った優勝に思いをはせた。その三谷は18年にはGP王に輝いた実力者。勢いに乗って今年初のGⅠとなる高知の全日本選抜競輪(23~26日)で存在感を示す。(下野 章雄)

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