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【記者コラム】”南関の深谷”移籍効果

 今年最初のGⅠ「全日本選抜」は郡司浩平の地元V。あまりに動きのないレース、流れが単調過ぎた、という声も聞かれるが、それは前を行く深谷知広がうまかったから。抜群のタイミングとスピードで別線の思惑を完全に封じ込めた。
 
 完敗の形となった中国SSコンビ。清水は「まさか赤板から深谷さんが全開で行くとは思いもしなかった。対応が遅れた。最終ホームでは全く勝機はなかった」。清水に前を任せていた松浦も「全く想定していなかった」と深谷の早駆けに戸惑いの表情を隠せなかった。当の深谷は「別線に飛び付かれないように、そこだけは細心の注意を払って踏んでいった」。まだ来ないだろうという瞬間にナショナルチームで鍛え上げたスピードで全開で踏まれたら…。当然、南関の2段駆けを警戒していた平原も清水も深谷に飛び付くことはできなかった。深谷の番手から抜け出してしっかり勝利をつかんだ郡司は確かに強かったが、深谷の走りも素晴らしかった。
 
 一念発起して愛知から静岡に移籍。〝南関の深谷〟として初めて参戦するGⅠでこれ以上ないアピールだ。「知らず知らずのうちに刺激を受けていたかもしれない」と語ったように、深谷自身もGⅠで決勝に乗るのは19年の松戸ダービー以来。移籍の効果は大きかった。今年のグランプリは南関地区の静岡で開催される。いち早くグランプリ切符を手に入れた郡司が今度は前で引っ張っていけば、続々と南関にタイトルが集まってくる。元々、層が厚い南関に一枚、大砲が加わったことで強度を増したことは間違いない。
 
 ♤狩谷 牧生(かりや・まきお)1964年(昭39)4月11日生まれ、神奈川県出身の56歳。88年4月スポニチ入社。92年1月にレース部へ異動。1年間の競輪取材の後、中央競馬担当に。2013年、21年ぶりに競輪の現場に復帰した。取材する機会の多いミッドナイト競輪は競走得点順に。「何番車ですか?」と聞かれることもなくなった。

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