昨年7月にデビューした68人の113期生。ここまでのS級昇級者を見ると、近年まれに見るハイレベルな期別だとよく分かる。デビュー1年以内に9人がS級へランクアップ。これは96期以降で最も多い。そのうち藤根俊貴、松井宏佑、河合佑弥、宮本隼輔、黒沢征治の5人がS級優勝を飾った。
なぜこんなに強い選手が多いのか?日本競輪学校から名称を変更した「日本競輪選手養成所」の卒業者数が増えたことが即戦力ルーキーの多さに比例?いや、要因は他にある。
5月にS級特進を決めた植原琢也(25=埼玉)が興味深いことを話した。養成所は世界に通用する選手育成を目指し短距離ナショナルチームと同じ科学的トレを導入。113期は最新トレとそれまでの訓練が融合したメニューを課されたと言う。その指導内容に触れ「ただ自転車に乗るのではなく、どんな効果があるのか目的意識を持たせていた。知識量が増えたし頭を使う大事さがよく分かった」と振り返る。また「松井宏佑さんが(400㍍独走で)新記録を出したように普段の訓練からレベルが高かった」。〝新旧融合トレ〟で心身を鍛えながら、同期で刺激し合い全体がレベルアップ。個人の成長にも相乗効果が生まれ、S級で即通用する若武者誕生につながった。
113期生は現在A級在籍でも魅力あふれる個性派がずらり。令和の競輪界を席巻する黄金世代になる。
♤小野 祐一(おの・ゆういち)1983年(昭58)10月26日、秋田県生まれの35歳。06年スポニチ入社、大阪本社で2年、東京本社で10年競輪担当。1年間の中央競馬担当を経て今年4月から競輪復帰。6月7日の静岡FⅡ2日目予想で2車単パーフェクトを達成。