7日に幕を閉じた平塚での第77回日本選手権。数々の激闘が繰り広げられた中で、中部勢の躍進が光った。まずはGⅠ初制覇を飾った山口拳矢(27=岐阜)。決勝では主導権を握った四国勢を追走すると、佐藤慎太郎に絡まれながらも外を鋭く伸びて、番手捲りを放った清水裕友に伸び勝って初戴冠となった。持ち前のスピードに加えて、機敏な立ち回りときゅう覚の鋭さを存分に発揮して新時代の扉をこじ開けた。年末のグランプリ(12月30日、立川)出場も当確として、今後のトップ戦線での走りは見逃せない。
谷口遼平(29=三重)は日本選手権で2勝と活躍した。一次予選は打鐘先行から別線を封じて3連単36万円台の大波乱を起こすと、3走目では機敏に3番手を確保して捲って勝利。初日の勝ち星がフロックでないことを証明した。近年、強じんな脚力に磨きがかかって、スピードも一級品。今後が楽しみだ。橋本優己(23=岐阜)は4月四日市で大敗を並べて状態が懸念されたが、日本選手権の一次予選では後方から好回転で捲って不安を払拭。二次予選も外を捲り上げてGⅠ初の準決進出を果たした。航続距離の長さを伸ばしつつ、攻め幅の引き出しを増やしていて着実に進化を続けている。
GⅠの舞台ではないが、横関裕樹(35=岐阜)の復調が著しい。一時期は大きい着を並べて低迷していたが、先月の奈良で5カ月ぶりの優出を果たして気を吐いた。「ひと月だけで3点ぐらい点数が上がった。ウエートトレーニングをやめてから良くなっているし、だいぶ調子は上がってきている」と確かな手応えをつかんでいて、力強さを取り戻してきた。くしくも1月の宇都宮で失格した影響で現在は来々期S級点の勝負駆けの最中だ。「取れなかったら仕方ないけど、やることだけやっていく」とS級点確保へ闘志を燃やしている。パワーは光っているだけに、期末の勝負駆けにも注目したい。(栗林幸太郎)