平成から令和へ時代をまたぐ「第73回日本選手権競輪」がきょう30日から6日間、松戸競輪場で争われる。ゴールデンウイークに開催されるGⅠ最高峰のダービー。選考期間中の獲得賞金で選ばれた精鋭162人が新時代の王者を目指す。初日メインの11R特別選抜予選は、自転車トラック競技日本代表として来年の東京五輪金メダル獲得を目標に掲げる脇本雄太(30=福井)が主役。マークする村上義弘とワンツー決着を狙うが、近況絶好調の松浦悠士、実力者の渡辺一成らも侮れず激戦必至だ。
脇本の進化は止まらない。東京五輪での金メダル獲得を目指し競技と二足のわらじを履く30歳。一昨年のトラックW杯ケイリン優勝の実績をひっさげ、昨年はオールスター、寬仁親王牌とGⅠ連覇。競輪界を席巻した。〝世界の脇本〟がベールを脱いだといっても過言ではないのが昨年の平塚ダービー。驚異的なスピードで三谷竜生をダービー連覇に導き、「先行日本一」の力を見せつけた。ところが、当の本人は「別にという感じ。(平塚は)競技と競輪がかみ合ってきて結果が出始めたというくらい。でも、ゴールはW杯でもGⅠでもない。あくまで東京五輪」と貪欲だ。
五輪を来年に控え「より高強度なトレーニングになってきたので競輪とかみ合わなくなるかも」と不安をのぞかせたが、強くなるのは大歓迎。現在はさらなるパワーアップを図るため、90㌔あった体重を80㌔以下まで落とし、そこから筋肉量を増やす段階という。体脂肪率は「12~13%くらい」と金メダルボディーに変貌を遂げようとしている。
まだまだ発展途上で、3月の世界選手権(ポーランド)では思うような結果を残せなかった。それでも「気持ちの弱さが出た。慢心してはいけない。これを糧にして頑張らないと」と前を向いた。続く大垣ウィナーズカップ。昨年末のGP以来となる国内レースで見事世界のスピードを見せつけGⅡ初優勝を手にした。
「大垣の感じは悪くないというくらい。それから競技のトレーニングに入って、体は大垣の時よりも違うと思いたい。もちろん昨年のダービーの時よりも。成長具合を見るためにもいつも通りしっかり走った上で修正できれば」と平成最後のレースに向け気合。「どんどんプレッシャーがかかるけど…」と苦笑したが、脇本らしい走りで令和につなげる。