5月松戸ダービーでは86年の滝澤正光(引退)以来の完全Vを決めた。
仕掛ける距離の長さ、上がりタイムを含め、史上最強の選手と呼んでも過言ではない。そして自転車競技でも世界の舞台で華々しい成績を残している。その世界の脇本が今シリーズはモガき苦しんでいる。
迎えた3日目西準決11Rではまくりを決めて、今シリーズ初白星で決勝進出を果たした。だが笑顔はなかった。
「納得のいくレースは一回もできていません。調子は最悪です」
確かに準決勝はいつもの脇本なら打鐘から一気に行ってしまう展開だったが、中団にはまってからの再度の仕掛けになった。「弱気でした」と振り返る。
今回はロシア遠征から直前に帰国しての参戦と厳しい状況だった。腰を中心に体は疲労が蓄積している。それでも決勝戦に向けては「ケアをして打開していくしかない」と気持ちを切り替える。
決勝戦は当然のように脇本を中心にレースは動く。新田、清水、平原はまくりを狙い、受けて立つ脇本が覚悟を決めて先頭で風を切る。決して万全の調子でなくても、近畿地区を代表する強い気持ちでGⅠ連続制覇を目指す。