10日からオールスター競輪(AS)がいわき平競輪場で開幕。ASは今年から6日制に戻り、ダービー、小倉競輪祭と3つのGⅠが6日制開催となる。
6日制に戻すなら出場選手の数も戻すべき。理由は「勝ち上がり」が甘くなるからだ。その上にポイント制の弊害が出やすい。例えば135選手で5日制の開催を6日制にすると日々の敗退者を減らすレースプログラムになる。よって〝引っ張る〟ために予選2回戦のポイン
ト制になる。
車券の本流が3連単である以上は選手の勝ち上がりも「3着権利」が当然。ファンが車券推理する上で1~3着こそ〝勝ち上がり〟であり、車券に絡まない4、5着を〝勝ち上がり〟と呼ぶことに私は当初から違和感を感じている。
ポイント制の弊害は古くは30数年前のダービートライアル、12年までの東西王座戦、そしてASが6日制→5日制になった直後の06年、現行の競輪祭などが上がる。理由はファンの車券推理に〝1走目のポイントが○点だから、2走目は…〟など余分な要因を加えるからだ。
今のGⅠが特別競輪と呼ばれた時代。ダービーは162人、オールスターは153人、高松宮杯は144人が出走。と強く記憶している。ダービーがGⅠ最高峰にランクされるのは勝ち上がりも厳しいからだ。
特選シード選手だけは1度の失敗(初戦特選かゴールデンレーサー賞)が許されるが、一次予選スタートの選手は着順次第では二次予選が2着権利になる厳しさ。即ちファンの車券推理と選手の勝ち上がりが一致する。だからこそダービーは最高峰にランクされる。
競輪祭、ASともに出場選手を増やすことは容易ではない。理由は明白で経費がかかるからだ。だがGⅠの重み、競輪史の積み重ねは考慮してほしい。私の中で特別競輪は優勝まで4走が普通(敗者復活戦と決勝戦まで3走もあり)で5走はない。車券基本の競輪は、勝ち上がりと車券推理が一致することは最低条件だ。
◇中林 陵治(なかばやし・りょうじ)1962年(昭37)7月13日生まれ、熊本県出身の59歳。慶大卒。87年4月入社、翌5月に小橋正義(引退)ら59期生デビュー戦(花月園新人リーグ)で記者デビュー。以来、競輪の現場取材一筋35年目。勝負レースは5車の結束、番手捲り、競り。
【記者コラム】勝ち上がりは3連単車券の3着までが基本
2021/8/5