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【記者コラム】代表チームの進化呼ぶ王者ブフリの爆走

 東京五輪開幕まで1年を切った。自転車競技トラック種目は男子ケイリンの決勝が最終日の来年8月9日に行われる。今年の世界選手権で銀メダルを獲得した新田祐大が日本選手団のトリを飾るメダルをもたらす可能性は高い。その色が金になるのか銀になるのか。新田の前に立ちはだかるのが世界選覇者のマティエス・ブフリ(26=オランダ)だ。

 

 競輪は5年連続5回目の参戦。7月13~15日の川崎ワールドエボリューショントーナメントでは他の外国人3選手を寄せ付けず、完全優勝を飾った。初日は悪天候の中で、カーボン製フレームにまたがって上がり10秒1の破格のタイムをマークした。鉄製フレームを使用する競輪での川崎のバンクレコードは10秒6(原田研太朗、17年8月)。単純比較はできないが、ざっと計算してその差は10㍍。人間離れしたスピードだ。

 

 ブフリは「10秒1なんて自分でもびっくり。10秒3、4の感覚。でも、ドライなバンクなら10秒を切る可能性もあるかな」。自信に満ちあふれ、オーラが凄かった。今年は川崎を含め8場所中2V。優勝8回の昨年と比べて結果としては物足りない。だが、武器のロングスプリントを磨くべく、成績は二の次にして例年以上に先行にこだわった印象だ。世界王者はこの夏さらに強くなったのだ。

 

 ブフリの活躍の裏で日本人選手はなすすべがなかった。出場したある選手は「世界で1、2を争う選手たちにナショナルチームでもない選手が挑むのは…。お客さんに見せる意味でも脇本(雄太)君や新田君を呼んだ方がいいのでは」と疑問を投げかけた。確かに一理ある。ただ、ブフリのレースにナショナルチームが感化されたことは言うまでもないだろう。1年後が楽しみでならない。(出田 竜祐)

 

 ♤出田 竜祐(いでた・りゅうすけ)1980年(昭55)9月29日生まれ、熊本県出身の38歳。明大卒。05年スポニチ入社。芸能、サッカー、ボートレース担当を経て昨年4月から競輪担当。最近の注目選手は6~8日の函館FⅡでS級特進がかかる元甲子園球児、菊池竣太朗(22=静岡)。

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