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【記者コラム】松本先生ありがとうございました

 競輪史上最多の1341勝を挙げた松本勝明氏が6日亡くなった。松本氏は81年(昭56)に引退。87年に記者デビューした私は松本氏の現役時代を知らない。
 
 私にとって松本氏は日本競輪学校(現日本競輪選手養成所)の特別名誉教官であり、新人記者時代から「松本先生」と呼ばせていただいた。競輪、そして新人競輪選手の特性など多くのことを教わった。
 
 80期生(97年デビュー)までは1年に2回、生徒が入学して卒業した。即ち卒業記念レース(2日制)取材は年に2回。当時は初日に予選3回戦を行い、その後に競輪学校内の教室で松本先生から当期生徒の見どころ、デビュー後の期待度など、多くの話を伺った。
 
 松本先生の話は競輪に対する愛情にあふれていた。私は松本先生の話に即座に引き寄せられ、卒業記念で話を伺う機会が楽しみだった。生徒の今後を見抜く〝眼力〟も素晴らしかった。
 
 例えば64期。「今回は偶数期だけどトップ数人は奇数期以上の能力があり特別競輪を獲れる」。1年に2回入学の当時は奇数期(鈴木誠=55期、坂本勉=57期、小橋正義=59期、神山雄一郎=61期)が強かった。しかし松本先生の言葉通りに64期は三宅伸(岡山)、有坂直樹(秋田)、高木隆弘(神奈川)の3人がGⅠタイトルを獲得した。
 
 次に75期。「在校成績は下だけど先行にこだわるレース内容がいい。デビュー後が楽しみ」と評した十文字貴信(引退)は96年のアトランタ五輪1㌔TTで銅メダルに輝いた。
 
 そして65期。吉岡稔真(引退)を筆頭に海田和裕(引退)、後閑信一(引退)らの中で在校成績1位は京都の後輩の山本真矢(引退)。しかも山本は徹底先行型。65期から始まったルーキーチャンピオン(優勝は海田)のレース終了後に松本先生が敗れた山本に熱心にアドバイスしてたシーンが記憶に残る。

 松本先生の多くの話は私の記者生活の財産になった。松本先生、ありがとうございました。
 
♤中林 陵治(なかばやし・りょうじ)1962年(昭37)7月13日生まれ、熊本県出身の58歳。慶大卒。87年4月入社、翌5月に倉岡慎太郎(熊本)ら59期生デビュー戦(花月園新人リーグ)で記者デビュー。以来、競輪の現場取材一筋34年。通算車券購入額上位者①神山雄一郎②鈴木誠③小橋正義