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【記者コラム】京王閣ダービーにプロ施行者の尽力

 2年ぶりのダービー(昨年中止)は松浦悠士(30=広島)の優勝で幕を閉じた。2着の郡司浩平、3着の佐藤慎太郎と3人による写真判定。3人の着差は微差、微差。「微差」とはタイヤ差(約3㌢)よりもわずかな着差で審判がスリット写真を拡大して目視で判定する最少の着差。まさに記録とともに記憶に残る一戦になった。
 
 ダービーはGⅠ最高峰にランクされる。優勝賞金もGⅠ最高額だが特別競輪の中でも重みが違う。私が知る日本選手権は35年前からだが出場選手162人は特別競輪最多で変わらない。今大会でも最終日を走れる選手は99人。即ち、63人は5日目までに帰郷。まさに「日本一を決める大会」にふさわしい厳しい勝ち上がりによる6日制だ。
 
 今年の大舞台は緊急事態宣言中で関係者は新型コロナウイルス感染拡大防止策の対応に追われた。参加選手162人の6日制開催は普通開催とは違う。選手間の密を避けるために選手控え室、宿舎の使用人数を制限。京王閣ダービーでは72選手が分宿(近隣ホテル)を使用した。
 
 東京都十一市競輪事業組合の湯沢秀臣氏は先の見えない昨年4月から「念には念を入れて」分宿確保に先手を打った。京王閣ダービーは1年先といえGWの5月4~9日開催。調布市の競輪場から近い場所でまとまった部屋数の確保。施行者歴35年以上の湯沢氏だからこそ対応が早かった。
 
 ダービー開催中はバス4台で分宿を往復。密を避けるため1台のバスには10人程度使用。レース終了後は出走選手の呼吸が整うまで「自転車を下りてから10分間」距離を置くテントの設営。また無観客となり選手控え室の特観席使用など新型コロナウイルス感染拡防止策にすべて対応した。
 
 湯沢氏は私が記者デビューから知る施行者の1人。京王閣競輪を知り尽くす施行者で想定外の場面での対応も早い。今のコロナ状況での開催は各競輪場を知るプロの存在も大事になる。
 
 ◇中林 陵治(なかばやし・りょうじ)1962年(昭37)7月13日生まれ、熊本県出身の58歳。慶大卒。87年4月入社、翌5月に倉岡慎太郎(熊本)ら59期生デビュー戦(花月園新人リーグ)で記者デビュー。以来、競輪の現場取材一筋35年目。通算車券購入額上位者①神山雄一郎②鈴木誠③小橋正義。

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