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【記者コラム】伸びシロ豊富な若獅子・小林泰正 

 小林泰正=写真=にとって2019年は躍進もあり、挫折もあり、紆余曲折(うよきょくせつ)の一年となった。今年前半はA級1、2班戦でコンスタントに活躍。6月A級レインボーファイナルでA級の猛者を相手に勝負強さを発揮してS級に特進を決めると、一気にスターダムへの階段を駆け上がった。昇級2場所目の弥彦記念でいきなり決勝進出、続く西武園記念でも優出を果たして実力を証明した。
 
 しかし、順風満帆の中に亀裂が。西武園の決勝では落車の憂き目に、次走の福井でも落車が続いてリズムを崩した。「福井での落車のダメージがひどくて、その後は引きずってしまって」。落車後は長期休養を余儀なくされた。寬仁親王牌を挟み復帰戦となった京王閣では復調途上ではあったが、センス抜群の走りを披露してS級初優勝を果たした。手負いながらもここ一番での粘り強い脚質と、勝負にかける執念が光った。
 
 精鋭ぞろいの113期の中でもポテンシャルは間違いなく屈指。冷静沈着な組み立ても光り、何でも器用にこなせる一面もある。ただ、小林自身はさらなるパワーアップを求めて模索している。
 
 「先頭に立ってから引かずに、そのまま逃げたいんですけどね。まだ自分にはそこまでの脚力はない」と冷静に自己分析。「寬仁親王牌に出て刺激に。またGⅠで走りたいし、もっと脚力を付けたい。そういった意味でも(最終)バック数にはこだわっていきたい」。先を見据え果敢な攻めも目立っている。伸びシロは大きく、来年はさらなる飛躍も十分見込める。現在大垣で今年最終戦に臨み「悔いのないよう走る」。気迫のこもった走りには注目だ。

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