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【記者コラム】尾崎睦〝不敵な笑み〟完全復活は間近だ

 2年前の12月。「ガールズGP?知らないですね。来年、平塚でやる大会なら知ってますよ」。尾崎睦(38=神奈川・108期)はそう不敵に笑った。それから1年後、彼女の姿は平塚になかった。地元の大舞台へ全てを懸けたが、選考期間内2回の失格によるペナルティーで出場ならず。斡旋も止まり先日行われた平塚ガルコレへの挑戦権もなかった。3月に戦線復帰したが、勝てない。尾崎睦が尾崎睦じゃないみたいだ。

 勝率16・6%。昨年は同66・0%で、普通開催なら当たり前のように勝っていたが、甘くない。今まで振り切っていた相手にも簡単に差されるようになった。「1着ってどうやって獲っていたんだろう。忘れちゃいました。斡旋が止まっていた2カ月も練習していたし、感覚を戻す期間はもう終わったけど…」と首をひねる。苦悩の先に待っていたのは苦悩だった。

 ただ、自転車の神様は尾崎を見捨てていない。先日の立川(1~3日)の初日2着後、尾崎は誰よりも熱心に検車場で自転車を整備していた。「(豊岡)英子に〝自転車の整備せんと。自転車の神様は見てるよ〟と言われたんで」。周りの男子選手も、その姿を見てアドバイスを送った。翌日の2日目に12走ぶりの1着。「何走ぶりかなんて数えなくていいですよ(笑い)」と記者を注意したが、その目は心底うれしそうだった。神様が与えた1着という最高の〝薬〟。尾崎睦が尾崎睦を取り戻すきっかけになるに違いない。

 元々ビーチバレー出身のスーパーアスリート。〝勝つ〟ということへの飢えはすさまじい。次なる目標を聞くと。「まずは400勝ですかね」とあと22勝に迫った節目を挙げた。ここからピッチを上げ、寒くなる前、いやビーチバレーが盛んな真夏にはやってくれるはずだ。「あっ、達成したら金一封をくださいね」。その不敵な笑顔は〝あの〟尾崎睦だった。完全復活はすぐそこに違いない。

 ◇渡辺 雄人(わたなべ・ゆうと)1995年(平7)6月10日生まれ、東京都出身の27歳。法大卒。18年4月入社、20年1月からレース部・競輪担当。昨年は中央競馬との二刀流に挑戦。今年から再び競輪一本に。愛犬の名前は「ジャン」。初めてデビューから取材した期、117期の山口拳矢が平塚ダービーを制し感動した。

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