コロナ禍で競輪は4月、5月は中止が相次いだ。その最たるモノが、GⅠの中でも最高峰に位置付けられている5月の『第74回日本選手権競輪(ダービー)』中止だ。豊橋の全プロ記念競輪(5月30日~31日)に参加していた選手も「中止になってがっくり。モチベーションが下がって立て直すのに時間がかかった」と精神的なダメージは大きかったという。
厳しい情勢の中、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、競輪界もさまざまの措置を取り入れることになった。6月からは選手の移動を最小限にするため、全国を3ブロックに分ける『地区内斡旋』。7月から9月までのGⅢ以下で、ブロック斡旋による7車立て9レース制の開催が始まる。
「競輪は9車で走ってこそ面白みがある。同じ人数で開催するなら、9車立ての7レース制にすれば」と言う声も多いが、現状の最善の策としての措置とあれば、その中で最高のパフォーマンスを見せるしかない。
9日に幕を閉じた玉野FⅡナイターは、7車立ての12レースで行われた。そこに参加していた佐古雅俊(60=広島・45期)=写真=は「7車立てではもう出番はないなあ~」と言いながらも現役最年長選手として頑張っている。直前の地元広島では補充参戦ながら1勝。「予想外に1着が獲れて良かった」と400勝にリーチをかけていた。残念ながら今回で節目の勝利はならなかったが、競走に臨む真摯(しんし)な姿勢は変わりがない。
長く続ける秘けつは?との問いには「競輪が好きだから。まだまだレースで走りたい。そのために練習をしている」。実にシンプルな答えだ。1988年には立川グランプリ(6着)にも出場を果たすなど、最盛期には一線級で活躍した実力者だ。〝競輪〟を愛する男がバンクを駆け抜ける。(下野 章雄)
【記者コラム】競輪が好き‼現役最年長の佐古雅俊
2020/6/10