コロナ禍がもたらした新生活様式で、取り巻く環境は変化した。それに応じて新しいスタンスを確立する必要がある。静岡支部の重鎮・新田康仁(48=74期)も、その中の1人だ。失格2回が大きな足かせとなり、今年1月からは26年ぶりのA級降格。当初はレースの違いに困惑し、慣れるまでに時間を要したが、降格後4戦目の名古屋ミッドナイトで待望のVゴール。
あの新田がミッドナイトを走ること自体、違和感を覚えるファンも多いだろう。ただ本人はコロナ禍のA級生活を意外な方法で満喫している。宿舎でのプラモデル制作、略して〝宿舎模活〟である。
「ミッドナイトを走るようになって、日中の時間の使い方が難しいことを実感して…。昔から趣味で作っていたガンプラを持ち込んで、作るようにしたんです。他の選手が本を読んだりDVDを見たりするのと同じ感覚ですよ」
〝競輪界の赤い彗(すい)星〟の異名をとる新田は、自身のフレームもガンダムシリーズに由来するデザインで統一するほどのガンダムフリーク。写真は宿舎模活で手がけたガンプラの一部である。
「3種類のガンダムをミキシングして作ったり、ラストシューティングという名場面を再現したり…。宿舎生活は充実してますよ」
余談だが、プラモデル制作は集中力と手先の器用さを養い、同時に脳を活性化させる好素材として知育業界でも再認識されている。一流選手になるには脚力だけはなく知力も必要。時間つぶしの遊びのように見えても実は脳トレ。コロナ禍で見いだした一石二鳥の新スタイルなのだ。(岡田 光広)