岸和田競輪高松宮記念杯東日本勢西日本勢


●東 日 本 勢 も 腕 ぶ す

平原 静かな闘志


 いったい誰がいまの脇本を止めるのか…。令和初のGⅠ日本選手権。展開不問の強さに、誰もが度肝を抜かれたことだろう。平原もその中の一人である。
 
 「いまの競輪界は脇本君の一人横綱」
 
 潔ささえ感じさせるコメントである。ただ、その素直さが強い平原を作った最大のファクターであることも間違いないだろう。もちろん、このままで終わる男であるはずもない。さわやかでスマートないで立ちだが、誰よりも負けず嫌い。内心は悔しさに煮えたぎっているはず。計画的に実行している肉体改革も、誰にも負けたくないという思いからだろう。
 
 大会前の11日に38歳の誕生日を迎えた。尊敬すべき先輩たちがそうだったように、肉体的な限界が見えてくる年齢だ。だからこそ吸収できるものは何でも吸収し、できることは全てやる。ストイックなまでに自分の肉体を追い込んでいる。そうじゃないと、関東ナンバーワンのポジションにはいられないのだ。
 
 マーク時には輪界屈指のテクニックで自力選手を盛り立て、逆に自力戦では若手のお手本となるような迷いなき仕掛けができる。それこそがファンが愛して止まない平原康多の真骨頂。まずは東日本準決勝を勝ち抜き、決勝の舞台で脇本に挑戦状を叩き付ける。
 

新田 倒すのは俺だ!!


 直前はロシア・サンクトペテルブルグGPに出場。深谷知広、雨谷一樹と共に出場したチームスプリントで銅メダル。個人戦では男子スプリントとケイリンで銀メダル。とくにスプリントでは準決勝で脇本雄太との日本人対決を制してのファイナル進出。レース形態が違うと言えど、今大会に向けての好材料となったことは間違いない。
 
 5月の松戸ダービーは❷❹⑤7。昨年末のグランプリ以来となる競輪は、やはりブランクを感じさせるものだった。今回はそこまでの心配はないだろう。脇本だけが世界じゃない、脇本を倒すのはオレだ!誰よりもトラック競技を愛する男が、岸和田バンクをワールドクラスのスピード競輪に塗りつぶす。
 

東日本 先行予想

 
 平原、武田のSSコンビがリードする関東勢が一歩リードか。鈴木竜、吉田拓の107期コンビが積極駆けでラインをけん引。吉沢も自信を持ってその番手を回ることができる選手に成長した。もちろんケースバイケースで自力勝負も可能。名うてマーカーの諸橋や芦沢、器用さを兼ね備える木暮らがラインを盛り立て、準決勝や決勝への大量エントリーを目指す。
 
 個の力なら新田が一番だろう。松戸ダービーでは準決勝で5着敗退も、競技の方では世界を相手にハイレベルな戦いを展開。そのスピードや脚力と、レース勘がしっかりとかみ合えば、手に負えない強さを発揮するはず。加えて北日本には新山の先行力、菅田の慣性、山崎のパワーに佐藤慎のテクニックがある。その個性が一つに集約されたとき、最強ラインが完成する。注目したい。
 
 南関勢も急速に世代交代の波が押し寄せている。その象徴と言えるのが郡司。年明けこそ振るわずスロースタートだった今年だが、3月の松山記念で決勝進出を果たすと、そこからは一気に急上昇。4月の川崎では5回目となる記念V。苦しい時期を乗り越えてのVは格別だった。自力戦でもマーク戦でも、結果を求められる立場となったが、全ては南関地区の発展のため。同じ神奈川の和田真はもちろん、根田、中村浩の師弟コンビやスピード上位の山中を有する千葉勢、加えて名実ともに静岡のエースに成長した渡辺雄ともボーダーレスのいい関係を築けている。若い世代が潤滑油となっている南関勢の活躍こそ、新たな競輪スタイルの礎になるかも知れない。