先行力ナンバーワン

脇本雄太20201226記事

脇本 雄太 

 熱い思いがほとばしった。12月22日に都内のホテルで行われた「KEIRINグランプリ2020」の会見。新型コロナウイルス感染拡大の影響を考慮して出場選手全員がリモートで出演する異例の形式となった中、脇本の発言は大きな注目を集めた。

 

 近畿1人の脇本と、関東1人の平原康多(埼玉)。共に単騎での戦いかと思われたが、脇本は「21日に平原さんから電話をいただいて僕に付いてもらえることになった。ラインができる喜びを感じて、しっかりとした走りをしたい」と打ち明けた。

 

 11回目のグランプリに挑む平原が「ぎりぎりまで悩んだが脇本君に任せることにした」と番手を選択。ベテランが他地区選手との連携という異例の決断に踏み切るほど、脇本の先行力は際立っているのだ。

 11月18日の競輪祭初日8Rで落車。右手小指骨折、右肩鎖関節脱臼の〝重傷〟を負ったが「2週間は治療に専念し、その後は練習に戻った。普段通りのタイムが出ているので大丈夫」とフル稼働を約束した。

 

 今回平原とのラインで臨む大一番は、北日本を率いる新田との直接対決の場でもある。普段は静岡・伊豆を拠点にナショナルチームで新田と汗を流しており「今年の競輪ではGⅠで新田さんと戦うことが多かった。一緒に練習している中で互いに警戒したり、弱点を探すこともある」と言う。日の丸を背負う仲間でもあり、ライバルでもある先輩との年内最後のレースは絶対に負けられない。自身3年連続となるグランプリに向け「自分らしいレースがしたい」と言い切った。

 そして、来年には2度目の出場となる五輪が控える。16年リオデジャネイロ五輪は敗者復活戦で散っただけに「リベンジしてメダルを持って帰りたい」と力強く語った。

 

 今年2月の世界選手権で銀メダルを獲得。今夏の五輪は延期となり「最初はモチベーションが下がったが、さらに強くなる」と気持ちを切り替えた。「他の選手と比べて最大パワーが低いので最優先で強化したい」とさらなる進化を誓った。

 ♤ 脇本 雄太 (わきもと・ゆうた) 1989年(平元)3月21日生まれ、福井県出身の31歳。科学技術高―日本競輪選手会。16年リオデジャネイロ五輪代表。W杯のケイリンで通算2勝。今年2月の世界選手権は銀メダル。08年競輪デビュー、GⅠ5勝。1㍍80、82㌔。