久留米競輪で開催されるGⅢ熊本競輪開設71周年記念「火の国杯争奪戦」in久留米が、10月7日から10日までの日程で争われる。東京五輪代表の脇本雄太(32=福井)、賞金ランク1位の松浦悠士(30=広島)らS級S班は4人が参戦。そして迎え撃つ地元勢はエースの中川誠一郎(42=熊本)を筆頭に10人がスタンバイ。大会4Vを狙う中川に地元記念、そして24年の再開が発表された熊本競輪への思いを語ってもらった。


 今年も久留米競輪場で行われる熊本記念が迫ってきた。熊本の大エース・中川誠一郎は地元記念を「1年のメインイベント」と形容する。グランプリと同等の位置づけなのだ。66、68、69周年で優勝を飾ったが、昨年の70周年は準決勝で敗退。「力負けではなく展開で負けてしまった感じで、消化不良というか不完全燃焼で…。珍しくちょっと引きずった。その分も今年は頑張りたい」。4回目の地元記念制覇でモヤモヤを吹き飛ばしてもらおう。

 今年は2月の小倉、3月の別府でFⅠ戦を2V。夏場はGⅢ高知記念、GⅠいわき平オールスター、GⅢ千葉記念in松戸で3連続優出を果たした。

 「昨年終盤から今年の前半にかけてやっていたトレーニングの成果が出た。共同通信社杯は途中欠場したけど、状態そのものは変わらず悪くない。地元記念に向けて立て直しています」

 直前のGⅡ岐阜・共同通信社杯は6、7着で途中欠場となったが、必ず違う姿を見せてくれるはずだ。そして6月、熊本勢にとってはこれ以上ない朗報が届いた。熊本市長が24年度での熊本競輪再開を明言。すでに工事の準備も始まっているという。

 「もうあれ(地震)から5年。長かったけど、なんとか動きだした。競輪場内の道場も引っ越し作業中だし、ちょっとずつ(前に)向かってる感というか、実感が沸いてきた。いいモチベーションになるし、〝新しい競輪場でしっかり走るまでが復興〟と言い続けてきたので。こんなにかかるとは思いもしなかったけど(笑)。奮い立つ要素ではありますね。もうちょっと頑張ろうかなって思っています」

 初めての弟子の吉田悟が119期生として7月に本格デビューをした。

 「弟子を育てるのも楽しみの一つになっている。熊本は若い選手がたくさん育ってきているし、いいレースを見せて、背中で伝えていきたい。追い込みは合志さん、僕は自力の代表として、若い子たちにそういった思いを引き継いでいけたら。松戸のGⅢで僕の走りを見た(嘉永)泰斗が『気合が入りました』って言ってくれて。一つでも多く、そういうレースができればいいかな」

 初弟子効果なのか、これまでの中川とは違った心理ものぞかせた。タイトルホルダーとして、熊本のスーパーエースとして、自覚も芽生えている。最後に、メインイベントに向けての抱負を熱く語ってもらった。

 「地元記念で勝てなくなったら、自分の走りができなくなったら終わりだと思っている。自分にとってはまだやれるか、を確認する舞台でもある。去年の分も結果を出せれば。それが4回目の優勝なら最高。とにかく、見ている人に自分の気持ちが伝わるように走れれば」

 熊本競輪再開も決まってモチベーションは最高潮。脇本雄太がいようが、他にも強敵がいようが、熊本記念の主役は中川誠一郎なのである。