2011年3月6日 「第64回日本選手権競輪」

2011年3月7日付スポニチ本紙記事より抜粋

 今年(2011年)は村上兄がダービー初制覇。G1「第64回日本選手権競輪」の決勝戦が3月6日、名古屋競輪11Rで争われ、村上義弘(36=京都、73期)がまくって優勝。賞金6600万円(副賞含む)と“ダービー王”の栄誉を獲得した。村上のG1優勝は03年9月の一宮オールスター以来、8年ぶり3回目。昨年の村上博幸(31=京都・86期)に続き兄弟のダービー連覇は史上初の快挙となった。

弟・博幸に続き兄・義弘も‼ 史上初快挙

悲願のタイトル

 日本選手権――。村上が「自分の人生の中で一番欲しかった」という悲願のタイトルを手に入れた。

 大一番は前を任せた市田が残り2周で落車するアクシデント。だが、村上は「いつもプロテクターを着ける市田君がきょうは着けていなかった」という気持ちと「後ろには(山口)幸二さんがいる」いう強い気持ちで前々に踏み込んだ。打鐘では「(鈴木と山内の)間を突いて先行しようと思って」山内のインに入ったが、冷静に3番手に引いて態勢を立て直した。そして最終2角からまくり、真っ先にゴール線を駆け抜けた。

 ゴール直後は「4コーナーから長かった。オーロラビジョンを見ても(自分が優勝と)よく分からなかったけど…」という全力を尽くした人気No.1の村上にファンの大歓声が上がった。

 表彰台に上がった村上は「日本選手権は思い入れの強いレースでしたし、優勝できて本当にうれしい。いつも応援してくれる皆さまのおかげです。今後も命がけで精いっぱい頑張ります」。涙をこらえて喜びを表した。

“ファンに感謝”

 02年11月の岸和田全日本でG1初制覇。そして翌年にオールスター優勝。しかし、その後はG1優勝に縁がなかった。その中でも村上の走りはファンに支持され、昨年のオールスターファン投票では1位に輝いた。「低迷が長かったのに応援してくれるファンがいたから今の自分がある」。この思いが村上の“魂の走り”の源なのだ。「今まで通り、一戦一戦に村上らしいレースをするだけです」。今年もまた魂の熱い走りがビッグ戦線を盛り上げていく。(中林 陵治)