2016年3月13日「第69回日本選手権競輪」

2016年3月14日付スポニチ本紙記事より抜粋

 村上義弘が4度目のダービー制覇―。G1「第69回日本選手権競輪」の決勝戦が3月13日、名古屋競輪場で行われた。村上義弘(41=京都・73期)が優勝。「グランプリ2016」(12月30日=立川競輪場)の出場権利と優勝賞金6500万円を獲得した。ダービーの優勝4回は吉岡稔真氏(本紙評論家)に並ぶ最多タイ記録。また41歳でのダービー優勝は鈴木誠(千葉)の39歳11カ月(05年3月)を超えるダービー優勝の最年長記録となった。

◇京都ワンツー

 4回目の日本選手権制覇は最多タイ。そして最年長記録を更新。名古屋開催に至っては11年、14年に続く3連覇となる。そんな偉業を成し遂げた村上の顔は過去3回とは違い、非常に穏やかな笑顔で包まれていた。

 「ウソみたい。記録に関しては意識してなかったけど、日本選手権は競輪選手にとって大きな夢の一つ。またそのタイトルを手にすることができて良かった」

 近畿の先頭を任された三谷が、青板から上昇して赤板前から全開先行。打鐘4角カマシで巻き返してきた竹内を川村が1コーナー番手まくりで合わせると、村上が最終2センターで新田、深谷のまくりをまとめてブロック。内を突いた岩津を封じながら外を踏み、川村との京都ワンツーを演出。

 「竜生がハイピッチで一本棒に持ち込んで、晃司も頑張ってくれた。自分は晃司に4コーナーを先頭で回らせるように、最大限の仕事をしようと思った」

 直前の10Rでは実弟の博幸が景気づけの1着。

 「自分たちに対してのメッセージだと思った。準決勝の藤木も苦しい時期をたどって、その中で責任を持ってやってくれた。今の近畿は心の奥でつながっていると思う」

「今の近畿は心の奥でつながっている」

 これぞ近畿の結束力。その絆をつくっているのは間違いなく村上義弘。そして、村上義弘を後押ししているのがファンの声援だ。

 「年々苦しい戦いになっている中で、ファンの声援が背中を押してくれる。自分はそれに支えてもらっているだけ。これからもできる限りの感謝を込めて、目の前のレースを一つ一つ頑張っていきたい」

 輪界一ファンに愛されている男。これからも魂の走りで、その声援に応えてくれるだろう。(岡田 光広)