女王は強かった。児玉が史上初の連覇を決めた。「3、4番手を狙っていた」が道中は6番手。不利な位置取りになったが冷静だった。「前の佐藤さんが内を空けていたので」。内から小林の後位に入ると先に仕掛けた小林を上回る勢いで踏み上げる。瞬時に先頭に躍り出ると、外を伸びた石井貴に2車身差をつけ悠々とゴールを駆け抜けた。
昨年、静岡で念願のグランプリ制覇を成し遂げた後は「次に何をすればいいのか…」と燃え尽き症候群に陥った。3月大垣のガルコレで同門の先輩・小林に負けるまで〝やる気スイッチ〟はオフのままだった。だが今回は違う。「出たビッグレースは全て勝つ。グランプリを3連覇する」と早くも来年の目標を掲げた。「31日までゆっくりお休みさせてもらい、1月1日から気合を入れてトレーニングを始める。来年の初戦は地元の久留米(12~14日)。3
月のガルコレ(福井)に向けて頑張っていく」と力を込めた。「来年は1レースでも多く優勝できるように。新人選手も出てくるだろうけど、手が届かない存在になりたい」と〝絶対女王〟に君臨することを高らかに宣言した。そんな愛弟子の姿を頼もしく見守った師匠の藤田剣次(福岡・85期)は「久留米ナイターが終わった後、真っ暗なバンクで練習させたからね」と満足そうだった。
負けるたびに涙を流していたのはもう昔の話。新たに定めた目標に向けてさらに自分自身を高めていけば当分は〝児玉時代〟が続く。
♡児玉 碧衣(こだま・あおい)1995年(平7)5月8日生まれ、福岡県大野城市出身の24歳。私立筑陽学園高卒。15年7月デビュー。通算成績は338戦274勝。主な獲得タイトルは18年ガールズドリームレース(いわき平)、18年ガールズGP(静岡)、19年ガールズGP(立川)。1㍍68、66㌔。血液型O。
▼石井貴子(2着)スタートがうまくいかず後方に。前が児玉さんだったので何かしてくれると思っていたけど。最後まで信頼して付き切っていたら違ったかな。中途半端だった。連続2着は競輪の神様がもっと頑張れと言っているのだと思って精進するだけ。
▼小林優香(3着)タイミング合わず、自分のやりたいレースはできなかった。しっかり準備してきた(児玉)碧衣が強かったということ。次に戦う時は勝てるようにしたい。
▼佐藤水菜(4着)外を警戒していて、内から行かれるとは思わなかった。
▼奥井 迪(5着)強い向かい風の中で先行はできたし、気持ちだけは誰にも負けていなかった。児玉さんは強かった。
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