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【記者コラム】〝小さな巨人〟劇的有終V

 ビッグ戦線でも活躍した林巨人氏(37=愛知、写真)が現役を引退した。コロナ禍で昨年、出走回数が減ったことなどをきっかけに引退を決意。長年S級戦線を舞台に特別競輪でも活躍。身長1㍍59と小柄ながら、競輪界のトップ選手とも互角で渡り合い〝小さな巨人〟の異名で熱い走りを展開していた。人格者でもあり、同県問わずに親しまれていたのは印象的だ。
 
 ラストランとなった3月名古屋FⅠでは連勝で決勝に勝ち上がると、決勝では南修二をさばいて野原雅也の後ろに入り、直線で鮮やかに突き抜けて劇的なフィナーレを飾った。能力値のピークを越えて引退する選手が多い中、ラストランで有終の美を飾るのはたやすいことではない。それも優勝して完全Vのおまけ付き。加えるならヨコの動きが厳しい南をさばいた上で、急成長を遂げている野原をかわしてのV。いままでの集大成を披露しての優勝で、こんなにドラマチックなことがあるだろうか。
 
 「一番の思い出は(15年)競輪祭の準決で深谷(知広)、金子(貴志)さんの後ろで走ったこと」とこれまでの歴史を振り返る。実は二次予選では深谷の番手を回りワンツーを決めているのだが、あえて3番手を回った準決を選ぶあたり、林氏の謙虚な人柄がうかがえた。今後は家業の建築業を継ぐ。生活の基盤を支える〝巨人〟となって、第二の人生を歩んでいく。(栗林幸太郎