別府競輪バナー

2019年最初のGⅠ「第34回全日本選抜競輪」は8日から11日までの4日間、大分・別府競輪場で優勝賞金2990万円(副賞含む)を懸けて開催される。

 

S級S班7選手をはじめ総勢108人の精鋭が集結。平原康多、浅井康太、三谷竜生、清水裕友、太田竜馬、村上義弘、山崎賢人、中川誠一郎、郡司浩平ほか豪華メンバーにより連日、熱く激しいバトルが繰り広げられる。(電投番号「86#」)

◇別府バンクデータ

1周距離 みなし直線距離 最大カント 最高上がりタイム
400㍍ 59.96㍍ 33度41分24秒 10秒7(H26年5月)金子貴志

<追い込み中心だがまくりも決まる>

周長400㍍、直線のみなし距離は59.96㍍、最大カントは33度41分24秒ときつめだ。

 

例年、冬場はBS強い向かい風が吹く。この風が先行型を悩ませる。よほど展開に恵まれないと、逃げ切るのは難しい。車券戦術は追い込み中心となるが、きつめのカントを利してまくりもけっこう決まっている印象だ。ただし、遅めのまくりは3角からの上りで失速する。早めの仕掛けが有効だ。直線は内、中、外と平均して伸びる。

平原 V最有力

beppu0207hirahara

過去2度制すなど全日本選抜と好相性の平原康多 

GⅠ7勝のうち、全日本選抜のタイトルは2度手にしている平原康多は押しも押されもしない関東のエースだ。昨年末の静岡グランプリで落車(再乗)し、体調面が懸念されたが、直前の高松記念(❶❶②❷)は連日、力強いフットワークで存在感を誇示した。その準決は圧巻だった。目標とした鈴木竜が行けず厳しい態勢になりながらも、インの菊地圭尚を決め、執念の2着入線は価値あるものだった。決勝も任せた鈴木庸之が不発。太田竜馬の後じんを浴びる形になりはしたが、自力に転じて準優勝するあたりさすがだった。

 

気合「一戦に集中」

 

昨年、平原は全日本選抜(四日市)、寬仁親王牌(前橋)、競輪祭(小倉)のGⅠで3度、決勝にコマを進めているが、無冠に終わった。17年の全日本選抜(取手)以来、8度目のタイトル獲得に向け「目の前の一戦に集中」と目を輝かせた。

 

戦いの舞台となる当地は06年の56周年で記念初優勝を飾ったゲンのいいバンクでもある。おまけに関東の豊富なスタッフが平原をあと押しする。大舞台で数え切れないほど連係し実績を残してきた盟友・武田豊樹をはじめ、諸橋愛、木暮安由、吉沢純平、吉田拓矢、鈴木竜士ら充実した顔ぶれだ。関東で強力なシフトを組める平原がVの最有力候補であることは異論あるまい。メンバー次第では自らの機動力を駆使する。最強のオールラウンダーが3度目の全日本選抜制覇に燃える。

近畿の軸は三谷

beppu0207mitani

昨年、輪界の記録更新となる賞金を稼いだ三谷竜生 

三谷、MVPの実力いかんなく発揮

 

S班3選手を擁する近畿の軸は昨年MVPの三谷竜生。競技に専念する脇本雄太が不在の今シリーズは自力で戦う割合が増しそうだが、S班同士の村上兄弟や連係実績ある古性優作、タイトルホルダーの稲垣裕之らがいて地区の層の厚さは変わらず。ラインの絆も力にして勝負に出る。

 

村上義弘は今年に入り記念2場所で決勝を外しているが前走高松では2勝。リズムは取りつつあるか。好調キープの村上博幸は前走松阪記念で完全V。決勝は目標不在の中で最終3角7番手からG前での突き抜けを決めた。近畿では最も勢いに乗る。攻め強気な古性も自在戦で浮上がある。

安定感なら浅井

beppu0207asai

浅井康太 

安定感で平原をしのぐのが浅井康太。昨年10月豊橋記念3日目から20走18連対。その中で小倉競輪祭を制し静岡グランプリでは2着。今年も立川記念(❷①①❷)、松阪記念(❷①①❸)と優勝は逃したが好走を続ける。

 

序盤で調子を崩した昨年は地元、四日市での全日本選抜でまさかの二予敗退。その分も、ここでしっかり取り戻す。平原同様、柔軟な走りでV争い。競輪祭に続いてのGⅠ連覇へ気合を込める。

勢いある清水&太田

beppu0207ohta

ヤングGPを制し勢いに乗る太田竜馬 

beppu0207simizu

清水裕友

中四国は若い清水裕友と太田が注目を集める。S班の清水は今年初戦の立川で記念2勝目。太田もヤンググランプリVから躍進を続け、高松記念ほか今年3V。両者とも勢いをここにつなげ、GⅠで頂点を目指す。

スター候補・山崎賢

 

乱調気味だった九州のスター候補・山崎賢は前走高松記念で今年初の決勝進出。連日、果敢に仕掛けた内容もよく、悪循環は脱したか。記念、FⅠでの安定感が光る中川誠一郎は積極的な山崎と連係なら有利。九州地区のGⅠだけに怖さが増す。

 

鋭いまくりの郡司

 

郡司浩平は鋭いまくりで上昇気配。GⅠ決勝は2着に入った16年名古屋高松宮記念杯から遠ざかっているが再浮上へ準備は整った状態。機動力上昇の渡辺雄太、差し脚好調な中村浩士らと南関での連係で好勝負を演じる。

 

パワーでひっぱる新山

 

北日本は先行パワーある新山響平がラインを引っ張る。全日本選抜でV実績のある渡辺一成、山崎芳仁、佐藤慎太郎やGⅠ覇者の成田和也、昨年10月前橋寛仁親王牌で決勝に進んだ小松崎大地あたりも上位での活躍が考えられる。

総展望

ナショナルチームに在籍する新田祐大、脇本雄太、深谷知広が欠場。今年最初のGⅠはまれにみる混戦の様相を呈している。平原―武田のゴールデンコンビを中心にまとまる関東勢が頭ひとつリードしそうだが、SS班3人を擁する近畿勢は互角の評価ができる。昨年、静岡GPを制し、初の賞金王の称号を得た三谷竜生はMVPにも輝いた。

 

脇本不在はマイナス材料でも義弘、博幸の村上兄弟がSS班に返り咲くなど健在ぶりをアピール。さらに稲垣裕之、古性優作、南潤らこちらもコマはそろった。勝ち上がり段階では近畿の若手が発進し、2段駆けに持ち込む必勝パターンが見られることだろう。中部は浅井康太が代表格だ。GP2勝を誇る中部のエースは昨年、競輪祭で7年ぶりのGⅠタイトルを手にするなど実力を見せつけている。竹内雄作が先導役を務める。浅井を中心に柴崎淳、吉田敏洋、金子貴志、志智俊夫らで結束する中部勢もV圏内と言えよう。

 

九州勢がタイトル奪還のチャンスだ。何しろ山崎賢人の存在は頼もしい。その先行力はすでにトップクラス。つまりタイトルホルダーの中川誠一郎や井上昌己、園田匠はもちろん、山田英明や地元から唯一参戦する大塚健一郎にも勝機が巡ってくるということだ。昨年の桑原大志に続き山口県勢2人目となるSS班の座についた清水裕友は自慢のまくりに加え、ヨコもこなせる。自慢の自在脚を武器に上位陣を脅かす。

 

四国は太田竜馬、小川真太郎が絶好調だし、小倉竜二、香川雄介、渡部哲男にも出番はある。北日本勢は新田の欠場により評価を下げざるをえない。それでも渡辺一成をはじめ山崎芳仁、佐藤慎太郎、成田和也ら実力級が顔をならべる。ケレン味ない新山響平がドカンと発進し、彼らを引き出すケースも十分だ。南関は郡司浩平、渡辺雄太、根田空史が力勝負を挑む。目標にできる中村浩士、和田健太郎、松谷秀幸らの動向が見逃せない。

【前回決勝VTR】

原田研太朗―新田祐大―吉沢純平―平原康多―山田英明―古性優作―村上義弘―村上博幸―椎木尾拓哉の隊列。

青板過ぎに古性が上昇し吉沢にフタをすると吉沢は7番手に下げる。

3番手に古性が収まるも山田がインを上昇。赤板過ぎの2角から古性がスパートし主導権を奪う。

5番手の内に原田、外に吉沢で並走。吉沢が巻き返すも村上義が番手まくり。

村上博が外を踏む平原を2センターでブロック。

村上兄弟優位に見えたが、BSから豪快にまくった新田が外を強襲し優勝。

≪別府全日本選抜競輪決勝想定メンバー≫

2月11日=第12R・先頭固定2425㍍【激戦必至】発走16時30分

予想  選手名 前回成績 賞金 勝率 最近4か月の決手
勝利度数 昨年 連対
得点 短評
平原康多 87 高❶①②❷ 557 .428
36 S 6323 10,524 .642 6 2 1
120.00 2年ぶりの制覇へ
浅井康太 90 阪❷①①❸ 562 .555
34 S 10611 14,096 .888 4 11 1
121.00 好調持続首位互角
三谷竜生 101 阪病気欠 154 .294
31 S 5417 25,531 .529 0 8 1
115.56 MVPの実力発揮
清水裕友 105 阪病気欠 432 .571
24 S 8114 5,771 .642 0 8 1 0
119.28 上昇一途優勝争い
太田竜馬 109 高❽①①❶ 833 .586
22 1 172010 3,141 .655 6 11 2 0
113.44 勢い加速台頭十分
村上義弘 73 高❸①⑤① 193 .222
44 S 43110 8,790 .388 0 3 3 1
112.58 気迫の走り見せる
山崎賢人 111 高①③②❺ 277 .360
26 1 94111 3,940 .520 9 4 0 0
111.37 逃げ粘りV奪取も
中川誠一郎 85 防❼③❶ 321 .470
39 1 8216 4,225 .588 2 6 1 1
116.05 近況充実鋭さ怖い
郡司浩平 99 宮❶④⑤① 165 .565
28 1 13208 3,808 .652 0 13 2 0
114.82 強烈まくりで浮上

◇他の有力選手◇

選手名 タイプ 選手名 タイプ
武田豊樹 45 88 両方 橋本 強 34 89 追込
村上博幸 39 86 追込 近藤隆司 35 90 逃げ
金子貴志 43 75 両方 菅田壱道 32 91 両方
香川雄介 44 76 追込 木暮安由 33 92 両方
小倉竜二 42 77 追込 椎木尾拓哉 33 93 追込
佐藤慎太郎 42 78 追込 松浦悠士 28 98 両方
諸橋 愛 41 79 追込 小松崎大地 36 99 逃げ
中村浩士 41 79 追込 竹内雄作 31 99 逃げ
吉田敏洋 39 85 両方 古性優作 27 100 両方
稲垣裕之 41 86 逃げ 吉沢純平 33 101 逃げ
和田健太郎 37 87 追込 渡辺雄太 24 105 逃げ
成田和也 39 88 追込 新山響平 25 107 逃げ
山崎芳仁 39 88 両方 鈴木竜士 25 107 逃げ
渡辺一成 35 88 逃げ 吉田拓矢 23 107 逃げ
山田英明 35 89 両方 南 潤 21 111 逃げ

◇全日本選抜競輪とは

都道府県単位でチームを結成した「全国都道府県対抗競輪」が発祥で、1951年の第1回(大宮)から毎年全国競輪場の持ち回りで開催されてきた。

 

しかし場内がファンであふれかえり万が一の事故の懸念や、開催場周辺の交通渋滞などの問題に悩まされるようになり1969年に廃止になった。

 

その後、選手の出身地別の郷土色を生かした特別競輪を復活したいという声があがり、1985年に第1回「全日本選抜競輪」が前橋競輪で開催された。

 

現在の選考基準は、次の通り。

 

S級S班在籍者

過去3回以上優勝した者(開催時S級1班)

各都道府県における開催時S1在籍の平均競争得点1位

全国を8つに分けた地区毎の平均競争得点第1位~第3位の者

残余は平均競争得点上位者

◇全日本選抜競輪・過去10年優勝者◇
開催日 開催場 優勝者 所属
第24回 2008年12月9日 西武園 三宅 伸 岡山
第25回 2009年8月4日 大垣 山崎芳仁 福島
第26回 2010年8月8日 宇都宮 佐藤友和 岩手
第27回 2011年8月7日 岸和田 伏見俊昭 福島
第28回 2013年2月11日 松山 平原康多 埼玉
第29回 2014年2月12日 高松 村上博幸 京都
第30回 2015年2月15日 静岡 山崎芳仁 福島
第31回 2016年2月14日 久留米 渡辺一成 福島
第32回 2017年2月19日 取手 平原康多 埼玉
第33回 2018年2月12日 四日市 新田祐大 福島

★別府競輪・過去のビッグレース★

 

91、92年にGⅡふるさとダービー(08年広島を最後に廃止)を開催。

 

91年の同ダービーは豊田知之(59期・引退)、92年は吉岡稔真(65期・引退)が優勝。

 

08年にはGⅡ東西王座戦が行われ東は佐藤友和(88期)、西は小嶋敬二(74期)が優勝した。15年にはグレードFⅡながら全日本プロ選手権大会記念競輪(全プロ)が開催され武田豊樹(88期)が優勝。

 

GⅠ開催は今回が初めて。また、今年7月にはGⅡサマーナイトフェスティバルも開催される予定。