レース開催困難

スタンドの柱が折れた熊本競輪場

スタンドの柱が折れ傷跡もそのままの熊本競輪場

 熊本市中央区水前寺にある熊本競輪場。2016年の熊本地震ではスタンドの柱が折れ、ガラスが飛び散り、バンク(走路)に亀裂が入った。応急処置でバンクを修復して練習が行えるようになったが、レース開催は困難。場外車券発売だけを行い、レースは福岡県の久留米、小倉競輪場で熊本市営の代替開催を行っている。

 

 熊本市は18年2月、「競輪事業の収益が熊本地震からの復興財源に寄与する」こと、「競輪施設が新たに防災拠点として生まれ変わることで復興のシンボルになり得る」との考えから、約29億円をかけてバンクやスタンドを修復し、従来の500㍍走路から400メートル走路に規模を縮小してレース再開を目指す方針を表明。当初は19年度から工事を開始し、21年12月をめどにレース再開を予定していた。

 費用が膨らみ…

ガラスが飛び散ったままの熊本競輪場の施設

ガラスが飛び散ったままの場内施設

 しかし、今年1月に熊本市が計画を白紙撤回し、廃止も含めて再検討する方針を明らかにした、と地元紙が伝えた。費用が当初見込んだ29億円から13億円以上も膨らむことが分かったためとされている。再建を前提とした詳細な調査で、メインスタンドの耐震補強費が増え、新バンクの地盤強化も必要になったことが要因。熊本市は競輪関係者や弁護士などでつくる外部検討会を設け、11月までに結論を出す考えだ。

 

 レース再開は早くても22年以降にずれ込むこととなった熊本競輪場。スタンドなどは、ほぼ手つかずのままとなっている。今後の動向が注目されている。

 ▼松尾正人(日本競輪選手会熊本支部長)熊本支部は若手が育ってきていて活気があるし、3月に養成所から出た人数、4月に入った人数も多く、盛り上がっている。競輪場を取り壊して、新しく生まれ変わると思っていたが…。競輪場はアマチュア競技の人たちにとっても大切な場所。いい方向に向かうことを祈っています。